露出とは何か?

黒いリングが絞りで、銀色のリングがシャッター速度のダイヤル

1959年に発売され、国民的なベストセラーになったハーフサイズカメラ「OLYMPUS、PEN」は、画質を最優先するためにそのコストのほとんどをレンズにかけられたという。1960年代はコンパクトカメラといえど、マニュアルが主流だったので、内蔵露出計を使って測定した数値を元にシャッター速度と絞りを決めて、撮影していた。そこで写真のようにハーフサイズカメラでさえ、7種類の絞りと8種類のシャッター速度を備えていた(写真はPEN-Dといって高級機)。

これに比べて、現代のレンズ付きフィルムは、予測だが絞り2種類、シャッター速度固定ではないかと思う。なぜ、こんなに差があるのか。昔の人は偉かった、のではなくフィルムの性能が悪かったのだ。いまでは非常にフィルムの性能とプリントをする機械の性能が向上した結果、露出に対する許容度が広くなったのである。こむずかしくいえば「ラティチュードが広い」あるいはデジカメ的に言えば「ガンマカーブにおける直線部分の長さ」と言ってもいいだろう。簡単に言えば、暗くても黒くつぶれない、明るくても白く飛ばない範囲である。これが狭ければシビアに適正露出を決めなくてはならない。広ければ適当に撮ってもいいわけだ。

実はカラーネガフィルムに比べて、デジカメの方がラティチュードが狭いのである。特にCCDの面積が狭いのに画素数を増やしていくと露出はとてもシビアになる。各社は厳密な露出計と計算機を内蔵せざるを得ないのだ。それに比べれば銀塩写真派は、光と影を読んで、自らの感性で露出が決められるのだ。自信がない方はフィルムを買うと、箱に適正露出が書いてあるので、それを参考にすればいいのだ。

↑絞りはこのように中途半端な数字が書いてある、→シャッター速度は、スッキリと分かりやすい数字である。

では露出とは何か? フィルムに当たる光の量である。デジカメなら撮像素子に当たる光の量になる。これを決めるのが絞り(F値)とシャッター速度だ。固定絞りのカメラなら、露出はシャッター速度だけで決まる。シャッター速度は整数倍が基本なので、分かりやすい。しかし、絞りの方は数字の並びが中途半端である。2.8、4、5.6、8、11のように。これは「1:1.4」といった対数で表され、平方根の倍数になっているのだ。なぜかと言えば、一絞りで光の量が1/2、1/4、1/8になるように設定されているから。絞りとはレンズから来る光を円形の穴によって制限するもので、開口面積が半分になると光の量も半分になる。光の透過する量と、時間を制限することで露出が決まるのだ。例えば1/60秒、f8と1/125秒、f4では同じ露出になる。1/250秒、f2でもいいし、1/30秒、f16でもいいわけだ。代表的な露出方式には次のようなものがある。

●マニュアル=絞りもシャッター速度も自分で決める
●絞り優先AE=絞りを選ぶとシャッター速度が自動的に決まる
●シャッター速度優先AE=シャッター速度を決めると絞りが自動的に決まる
●プログラムAE=カメラが判断して最適の組み合わせを決めてくれる
●シーンセレクト=ポートレート、スポーツ、夜景などの条件に合ったプログラムAE

AEはオートエイクスポージャの略で、日本語で言えば自動露出である。では、絞りとシャッター速度の組み合わせをどう決めるか。これが問題なのである。絞りを変化させると変わるのは被写界深度である。これは別項目で説明したい。バイク乗りは基本的にシャッター速度を優先して考えよう。走っているバイクを撮影するためには、それが止まって見えるシャッター速度を選ばなくてはならない。これに加えてデジカメの場合は当てはまらないが、銀塩写真の場合は、焦点距離分の1のシャッター速度ならブレないと言われている。例えば200mmなら、1/200秒である。

しかし、速ければいいというものでもなく、1/500秒で完全にバイクを静止させると、ホイールまで止まっているように見え、スピード感がなくなってしまうのだ。もし、デジカメならPCに取り込んでホイール回したり、背景を流したりできる。まあ、それはそれで時間がかかるので、一般的には流し撮りという技でスピード感を出すのだ。これは上級テクニックなので、とりあえず、サーキットで撮影するときは1/250秒より速いシャッター速度を使うことを心がけよう。絞りは絞り込む、すなわち数字が大きくなる方向にいくほど、ピントの合う範囲が広くなるので、シャッター速度をどんどん速くするより、1/500秒までいったら、絞り込む方向で撮影しよう。といってもデジカメは絞りがf8ぐらいまでしかない機種が多い。なぜなら、絞りすぎると光の回析現象がおこって、解像度が悪くなるからなのだ。デジタル一眼レフカメラに銀塩写真用のレンズをつければ、絞り32とか使えるようになるが、絞ってもピントはシャープにならない。

話がとっちらかってしまったが、露出とは光の量である。露出=露出時間と言えるのだが、一般的に露出=絞りを意味することが多い。例えば「このときの露出はf5.6だった」とか。露出を決めるのは、絞りとシャッター速度である。それ以外に関係してくるのはフィルムの感度である。ISO32、50、64、100、200、400、800、1000、1600、3200、6400とかがある。数字が大きいほど高感度になる。フィルムの場合、感度を上げると粒状性が悪くなり、ザラザラした写真になる。バイク乗りなら速いシャッターを切るために常用フィルムの感度は400でもいいだろう。デジカメの場合も同じような傾向があり、感度を上げるとノイズが増えてザラザラした画質になる。許せるのはせいぜい200か400でそれ以上は、撮れないよりましという感じの画質になる。高級機になるほど、64とか50などの画質重視の低感度設定ができる。しかし、絞りがf8ぐらいまでしかないと明るすぎて適正露出に設定できないという問題がおこり、わざわざ暗くするためだけにNDフィルターという減光用のフィルターが必要になったりするのだ。

ざっと説明してみたが、これでカメラに絞りとシャッター速度があるわけを分かっていただけただろうか。絞りは明るいほど、暗いところでも撮影できるので、明るいレンズほど高性能と言えるが、高価格、大型化、重量化するというデメリットも背負っている。これを嫌ったデジカメは手ブレ補正機能を搭載して、遅いシャッター速度でも手ブレしないという方向に向かっている。これは大変素晴らしいことだと思う。

■まとめ
露出とはフィルムに当たる光の量。絞りとシャッター速度の組み合わせで決まる。バイク乗りはなるべく速いシャッターを切ることを心がける