二輪魂

遙かなる高みを目指し、もがき苦しみながら
Monsterを走らせ続ける男の挽歌

第十一輪 恐怖体験(act2)

□コメント
ツーリングにまつわる怪談話。Ferraiの体験集。 その2

□本文

act2:1990年 東北右半分周回ツーリング帰路にて

手元に資料がなくて曖昧だが岩手には「日本一長い鍾乳洞」がある。
途中から電灯も無く水先案内人と共に手にした「ろうそく」の明かりだけを頼りに時には四つん這いになり身をかがめながら膝まで水に浸かり奥へ奥へと行く鍾乳洞である。往復1時間程度かかる。
(本編とこの鍾乳洞はなんら関係ありませんが(^^;)

下北半島の恐山に寄ったはいいがたまたま誰一人も居なくて真っ昼間と言うのにすごく「寒い」思いをした。(怖いくせにそう言う所に行きたがる俺って(^^;)

とにかく岩手まで下がり、宿探し、地図を見ると黒点3つで鍾乳洞の存在が記してあったのでそこへ行くことにしたが18時ごろ到着したので鍾乳洞には入れず、すぐ近くのホテルに行き、フロントへ。
本館、別館もある鉄筋コンクリート5階建ての結構大き目のしっかりした観光ホテル。
フロントも明るく、制服を着た従業員が忙しそうにしてる。しかし生憎今日は満室とのこと。

いまからまた岩手市内までもどるのはキツイし。。。

「シングル料金払いますからテント張れるスペース貸してもらえませんか?」と言ったところ
「え?・・・・・・えー・・・・・そですね・・・・あ、別館の大広間が布団部屋になっているんですがそこでしたら・・・」と提案してきた。

テント張るより屋根と畳がある部屋の方がいいや。と思って快諾。

「ではこちらに・・」と言われて案内される。

すると一度本館を出て、別館の方に向かう。「あれ?本館と別館って繋がってないのかなー」と思いつつ黙って付いていくとなんと別館の裏の細い道?を歩き、別館の横にある木造の建物に中に案内された。がらがらと「引き戸」を開けて靴を脱ぎ、暗い廊下をぎしぎしと歩きやっと「広間兼布団部屋」に到着。広間と言っても50畳ほどあるような「大宴会場」である。
そしてその半分を締めて布団が背の高さぐらいに積んである。

案内してくれた人は電灯のスイッチと風呂への行き方だけを説明してそそくさと帰っていった。
電灯といっても家庭用の吊し電灯がこの広い部屋の中央に1カ所あるだけで光量が足りず部屋の端は薄暗い。

一人残された私。TVもない。テーブルもない。お茶もない。
幸い座布団が山のようにあるのでそれをソファーのようにして壁を背もたれにして座る。
天井も昔ながらの板目。あの襖(ふすま)の向こうは部屋なのだろうか?それとも押し入れなのだろうか?などとぼやーっと眺めながら目の前の山のような布団に目が行く。。。。。。。

布団は丁寧に積まれた形跡はなく、雑然と積まれ、重みで崩れてる山もある。そしてその土嚢(どのう)のように積まれたその布団の向こう側。どうもそこには6畳ほどの布団が積まれてない空間があるようだ。のぞき込んだ訳ではないがどうもそこだけぽっかりと穴が開いてるように見える。

その晩、私がその日のメシをどうしたとか風呂に入ったたかどうかはもう覚えてない・・・
ただその部屋の夜の事だけは覚えている。

怖かった。。。

・50畳もある部屋で一人でいること。
・いや、「一軒家の使われてない宿屋」に1人で居ること。 
・そして一晩中、例の布団に囲まれたぽっかりとした空間から「・・・・・とん・・・・・とん・・・・・・ぎし・・・・・」とかすかな音が聞こえていたこと。

私はたった一つしかない電灯を決して消さず、50畳の部屋の隅で猫のように布団の中に丸まって一晩を過ごした。

翌朝、フロントで精算する際、まさか本当に正規のシングル料金を請求されるとは思ってもみなかった。(苦笑)

朝8時。鍾乳洞探検は観光客が1人もおらず、水先案内人であるアルバイトの高校生に連れられて2人で最深度まで行った楽しさで布団部屋の件はきれいさっぱり忘れることができました(^^)

/=== 95'M900BlackFerrariDESUMO DUE 2001.08.10 25000km & LEGACY B4(BE5C) 700km ===/