二輪魂

遙かなる高みを目指し、もがき苦しみながら
Monsterを走らせ続ける男の挽歌

第二十二輪 ツーリングの味

□コメント
楽しいばかりでは実はつまらないってちょっと辛口なFerrariらしい話
※ジジイにならないとわからないだろーなーって思いながら書いた。

ツーリングの味。。。。なるほど、剣汰、うまいこと言うじゃないか、東京では剣汰歓迎ツーリング、
九州では聖地巡礼オフ会と場が盛り上がってる時に丁度いい話題だね。
今回はこれで1本書いてみよう。


□本文
何度も書いてると自慢のように聞こえてなんだが、まぁ、私はかなり日本を走ったライダーだろう。
でかいツーリングをあらためて列挙してみよう。

原付時代
・原付九州1周(2人)・原付四国半周(ソロ)
400ccになって
・400で福岡→鳥取→岡山→福岡(3人+1匹(タンデム))・日本縦断(ソロ)
(以下全てソロ)
社会人になって東京で生活を始めて
・日本中部×2回
福岡に帰り
・四国1周・東北右半分1周・独身最後のツーリングは紀伊半島1周
DUCATIになって
・第2回MonsterMeeting(富士山)→能登半島1周→福岡
・第4回MonsterMeeing(FISCO)→広島

DUCAITに乗る前の時点で沖縄以外の都道府県は全部走った。

そんな中で「じゃあ1番思い出に残るツーリングは?」と聞かれるとこれは結構な難問である。
1分ほど考えさせてくれ。



(考え中)



いくつかのシーンがフラッシュバックのように脳裏に浮かぶ。

あの日の夕日を越える夕日は見たことがない。。後で知ったことだが日本で一番美しい夕日が見れると言われてる町だった。。
あんな怖い海を見たことがない。。後で知ったが黄金道路と言って何度も荒波に壊されるので莫大な修理費がかかった国道だった。。
あんな熱い日はなかった。。。外気温センサー付きの腕時計、実に48度C!後で知ったが日本でも有数の最高気温記録を出す町だった。。

あえてその場所はここには書かない。

それはこれからツーリングする人に失礼だからだ。人から情報を聞いてそれを確認しに行く旅?
そんなん変じゃないか。事前に観光ガイドで食う所、寝る所、景観スポット、それらを調べてそこに行って「確認」して満足するなら観光バスで行けばいい。
・写真で見た通り綺麗な場所だった。
・載ってた通りおいしい店だった。
・調べた通り安いホテルだった。
事前に調べれば調べるほど旅(ツーリング)の味は薄くなる。

見栄張って、カッコイイからとかオシャレだとか、そんな理由でバイク旅行(世間はそれをツーリングと言う)するのも「あり」かもしれないが、そんなツーリング?は10年たったら人に語れる記憶など無くなってるさ。きっと。

そう、写真を見ないと思い出せない程度なら「何を感じたか?」なんて思い出せるはずがない。
何の糧(かて)にもなってない。

写真の中に写る風景はせいぜい左右45度ぐらいじゃないか?どんな広角レンズ使っても。
でもその時、その場にいたなら左右100度の視界と空も見えていた(感じていた)はずだ。

「空間の中にいる(いた)」と言う感覚は写真じゃ絶対伝えられない。
ツーリングが終わってそのツーリングの時の写真をいくら知人に熱く語ってもなかなかわかってもらえない。
それは本人が見た風景が10cm角の写真の外側に何十cmも何kmも広がっていてそれは話す相手には全く知らぬ存ぜぬの空間なのだ。
写真とは本人だけが知ってるその広がり、温度、湿度、音、光、風を思い出せる為の自分だけのアイテムでしかない。(芸術写真となるとまた話は違うだろうけど)

そう、例えば月面着陸した宇宙飛行士が月から撮った地球の写真を見せて「どうだい、美しいだろう?」と言うようなものだ。アストロノーツが感じた神々しい神秘を写真1枚で伝えるなんてできる訳が無い。何時間話しても。

そんな事に気づいてからは(日本縦断以降かな?)私はツーリング中に写真さえもあまり撮らなくなってしまった。撮る暇があったら見ていたい。そんなカンジかな。。。

何1つアイテムが無い状態で思い出せる思い出こそ自分が味わった「味」なのではないだろうか?

そして面白いことにその味はあまり美味ではないと思う。
と言うか最後に残る味はおいしい味ではない。
人間の脳の仕組みとかなんだか知らないが「甘くおいしい味」はどんどん忘れていくようだ。

ある日タクシーの運ちゃんとの会話。
運ちゃん「バイク壊れたんですか?」(フル装備でメット持って乗車した私を見て)
私「いやー、バイクは船乗せた。飛行機で九州に帰るの」
運ちゃん「はー、どこ走ってたんです?」
私「うん、下北半島をぐる〜っと」
運ちゃん「それは楽しかったでしょー!」
私「うん、まぁね。でも「楽しかった」だけだったかもねー」
運ちゃん「え?それはどう言うことです?」
私「う〜ん・・・・いや、今までいろんな所走ったけど結果的に思い出に残るのは凄い土砂降りの豪雨の中を走った事や、寒くて死にそうだったことや、ツライ事の方が旅をしたなぁーって記憶に残ってるんですよ。今回は楽しい事ばかりでねー(^^)」
運ちゃん「はー!そんなもんなんですか!なんか目から鱗ですね〜」(とかなり感心している様子)

雨・・・・強風・・・・猛暑、歯が鳴るほどの寒さ・・恐怖、不安・・・・驚き・・・信じられないよう事・・・
実際1分考えて出てきた思い出の8割はこんなもんだ。
しかし結局、そんな記憶の方が後々思い出して「いい思い出」になっているような気がする。
(これはたぶんソロツーリングが長いせいかも知れないが。)

で、ツーリングは何味か?
そうね。。。。私にとっては胃薬みたいなもんかな。
日常のストレスをすっきりさせてくれるが少々苦く渋い味。

でもその後だからこそチョコの甘さがいっそうわかるってものじゃないだろうか?
おいしいものばかり食べていたらきっと虫歯になったり味オンチになると思う。

若いときの苦労は買ってでもしろ。そんな言葉の意味が40を目の前にわかったような気がする。

/===95'M900BlackFerrariDESUMO DUE2001.10.0325220km& LEGACY B4(BE5C) 1500km===/

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