さてさて、33、34輪と非常に重い話が続いた。そんな訳で今回はぐっと軽く、でもちょっと
いい話です。若かりしころのFerriraはその時何を感じていたのか・・・さらっと読める二輪魂
もたまにはね(^^)
注)ハンドル名は「Ferrari」ですが二輪魂の中では「Ferrira」とスペルを代えます。
ぱっと見は「フェラーリ」と読めるのでそのまま「フェラーリ」と発音して読んでください。正
確には「フェリーラ」と読むかもしれませんがそんな単語はないでしょう。なぜスペルを代える
かの理由は特に(今は)言いません。ずっとずっと先の障害を無くすためです。
※なお、二輪魂はMSゴシック10pointで書いてます。行末が不ぞろいの方はIEの設定を代えた
方が見やすいかと思われます(Macなら等幅フォントっちゅー奴かな?)
片岡義男(直木賞候補作家?)という作家がいる。バイク好きなら一度は聞いた名前だろう。で
も俺は彼の本を読んだことはない。記憶では20年前ぐらいに結構ブームになった作家だ。なぜ
ブームになったかと言うと彼の作品にはバイクがよく出てくるそうだ、なんでもバイク好きには
それこそバイブル的な存在らしい。
そんな噂を聞いたから俺も興味を持って本屋に行った。そう、20歳ぐらいの時だ。手にとって
頭の数ページを読んだ。題名など覚えてもないが今でも「唖然として買う気がおこらなかった」
ことをよく覚えている。まったくもって失望した。
その理由はこうだ。その最初の数ページの中の1行(か2行)。記憶は定かでないから車種名と
か数値は覚えてないが、道端に停めてる自分のバイクを説明する件(くだり)があった。
「このYAMAHAのSR400はハンドルが地上から83cmのところにある」
この1行がひっかかった。この1行で読む気も買う気も失せた。
「ハンドルの地上高が○cmだと?そんなん気にしてバイク乗っての?おまえ(片岡)?ほんとに
バイク好きなん?そんなデータまで「記憶」してんの?おまえ本書くためにバイクのパンフレ
ット広げてそれを見て書いてるだけじゃん。バイクの解説でふつーハンドル地上高なんてとこ
ろを引き合いには出さんだろ?くだらねー」が俺の感想。
だから彼の作品は恋愛小説の中の主人公の移動手段としてバイクが出てくる程度か、西村京太郎
のように殺人事件のアリバイに時刻表が出てくるとか、そんなカンジの読み物であるのだろうと
勝手に想像した。
それなら(単にバイクが出てくるお話なら)俺でもいくらでも書けるわい!と思って今回の二輪
魂へ繋がる。(長い前フリだ(^^;)(言い訳とも言う(^^;)
※
時は同じく二十歳のころ。男子校から花の大学生になった私は持ち前のキャラを活かしてそれは
それは大変多くの女性とランランな(乱乱ではない。爛々だ)大学生活を送っていた。恋愛を成
就(じょうじゅ:叶うこと)させたことは稀少であるがこと女友達に欠くことはなかった。その
中でも一際かわいがっていた女がいた。「かわいがっていた」とは変は言い方だが、同じ歳の彼
女には彼氏もいるし、恋愛感情でない「妹」のようなカンジでよく遊んだ。雰囲気は・・芸能人
に例えるなら・・・森尾由美?の若いとき(当然だ(^^;)を「引っ込み思案」にしておとなしく
したようなO県出身の田舎育ち(田んぼしか無いと言っていた)の子。
中央キャンパスのでかい掲示板を「今日の休講(突然の授業中止)は無いかなぁ」と見つめる俺
の後ろにそっと忍び寄って声もかけずに一指し指と親指で俺の服の袖をつまんで「ちょんちょん
」と引っ張るような子。びっくりして振り向くとニコっと笑ってる。「なんだP子かー!びっく
りするじゃん!」 P子「休みあるのぉ?」 俺「あったあった!午後暇じゃん!あそぼー!」
そんな俺のかわいい女友達だった。
当然タンデムで何回か日帰りツーリングもした。
海中、志賀島は当然のこと山口県の秋吉台までも日帰りした。彼氏がいるのに。なんて感情は全
く無いし、彼女は「それとこれとは違うと思うのぉ」ってなほわっとした気性の性格だった。
(だいたい俺はその時片思い中の意中の女性が別にいたし(^^;)
何回かツーリングを重ねる。彼女も「バイクを怖い」と思わなくなっていた。そんなある日、今
となっては俺がどうしてその場所を知ったかも思い出せないのだが大分県のあるところに「ねが
い地蔵」と言うお地蔵さんがあることを知った。最初は1人で行ってみた。国道から少し横道に
入り車6台ぐらいの駐車場にバイクを停め、メットを持ったまま山道を登ること15分程度。
そこには小さな小さなお堂と山の崖肌を削ってできた腰の高さの台座の上に中くらいのダルマ程
度の大きさのお地蔵さんが赤い前掛けをして鎮座していた。ヘルメットを少し縦長にしたくらい
大きさ。濃い岩色で苔(こけ)も付いて傷んだお地蔵さん。新しい物ではないと見たらすぐわか
る。地蔵の回りには小銭がぱらぱらと置かれている。
さてこれが「ねがい地蔵」なわけだが・・・別にこのお地蔵さんの前で手を合わせて拝めば願い
が叶うなんてものじゃない。その場所には何も説明らしい看板も無かったがなぜか俺はその地蔵
の「扱い方」を知っていた。
この「ねがい地蔵」は「持ち上げるもの」だと知っていた。
聞いた話ではこうだ。「○○にあるお地蔵さん。それを自分の願いを込めて両手で抱えて持ち上
げるのだ。」「軽く持ち上がれば願いは叶う」「持ち上がらなければ願いは叶わない」「重く感
じればその願いは困難であり軽く感じればその願いは遠からず叶う」と言う言い伝え。迷信?
どうだい?ちょっと面白いだろう?
さてFerrira。ヘルメットを傍(かたわ)らに置き、いざ挑戦!
両手がひんやりとした地蔵の腰に触れる・・・5本の指がひっかかりを探してもぞもぞと動く。
ん・・・ここら辺かな・・・ポジションは決まった。願い事は?・・・決まってる「あの子とう
まく行きますように!」と心で思って力を込めて「ライジング・ザ・願い地蔵!!」
ゴト・・・と地蔵がかすかに動く・・・(な!なにぃ!お、重い・・・重いじゃん!)
更に力を込める・・・(がは・・・きつ!・・無理か?浮いたか?)
かすかに浮く地蔵・・・(ぎ・・・ぐ・・・だめ・・・限界・・・)ゴトっと地蔵不時着。
挑戦して10秒程度で一瞬は浮いたがその重さに焦る。マジ焦る。
(え?!え?!こんなに重いの?だめじゃん!全然だめじゃん!・・・・(TT))
じっと地蔵を見る。チッチッチッチッチッチッチッチッチッ・・Ferriraの脳が計算開始・・・
ピーン! ち!そうか、そうなのか?!そう言う仕掛けか!・・・・何かがひらめく。
2回目の挑戦。地蔵は軽々と持ち上がった。
(なるほど・・やはりそうか(ニヤリ)・・・これは面白い!P子を連れてこよーっと!(^^))
※
数日後・・・・国道を走る2人乗りのバイク。私のジャンバーのポケットに両手を入れて暖める
仕草も慣れたものだ。アメリカンのこのバイクはリアシートがライダーのシートより5cm程度高
くなってる。しかし座高の高い私と小さいP子ではヘルメットの高さは変わらない。景色がよい
道になると私は前傾姿勢をとり、顎(あご)がスピードメーターにくっつくぐらいに身を屈(か
が)めてあげる。
そうすると後ろのP子はバイザーを通して360度全面に景色が一望できる。P子はこんな俺の
サービスが大好きだった。顔は見えないがニコっと笑ってるP子を想像する。3時間ほどで目的
の「ねがい地蔵」までやってきた。
木漏れ日の山道を歩く。
「ねぇ、ねぇ、何があるの?」「願いが叶う場所があるの」「なんで?なんで?」「内緒〜」
「なんで?なんで?」「行けばわかるって」「怖い?」「怖くない!怖くない!(笑)」
20分後、2人は地蔵の前に立っていた。どうすればいいか説明をする。真剣に聞くP子。
(仕掛けについては教えない)
私「じゃ、やってごらん」
P「えー・・・・できるかなぁ・・・・」
私「出来る出来るって!」
ドキドキしながら手を回すP子、見てるこっちもハラハラする。
P「ん・・・うう・・・・」
その様子を見てFerriraは失態に気づいた!
(し、しまったぁ!女か!女じゃん!力ねぇーって!絶対上がるわけないじゃん!)
(『あの』仕掛けを教えても無理なんじゃないだろうか?やっばー・・・)
案の定P子は1cmも地蔵をあげることができず地蔵から手を離し大きな目を訴えるようにして俺
をじっと見る。
P「全然あがらな〜い・・・」(その声も弱々しい・・・)
(あう!ま、1回目が上がらないのは計算どおりだ、そういうモノなのだ。これは。しかし果た
して今から再挑戦して上がるだろうか?この子で?この子の力で?・・・)焦るFerrira。
俺、平静を装って・・・
「あがらない?そう?それは願いに対する『思い』が弱いからじゃない?」
そう言ってP子と少し話をした。仕掛けのことは言わない。彼女自身が「自分の力で持ち上がっ
た」と思わなければ意味がない。トリックなんてこの子には似合わない。がんばれ、P子!
P子、2回目の挑戦。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして地蔵は持ち上がった。
笑顔のP子。(よっしゃ!思った通りだぜ!)と俺も笑顔。
木漏れ日の階段を下る2人。私はP子が持ち上げれたことが嬉しく、P子は持ち上がったことが
嬉しかった。
しかしふと、俺はなにげに思った・・・
「P子、何お願いしたの?」
「え?・・・えっとね、おばーちゃんのこと」
「おばーちゃん?おばーちゃんの何?」
「えっとね、おばーちゃん病気なの。だから治りますように。って」
「え?・・・・・」(私の心に何かが刺さった)
「上がらなかったらどうしようかと思ったぁ・・・良かったぁ・・」
返す言葉が見つからなかった・・・・
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愕然としたのを今でも覚えている。
「願いが叶う」その第一優先が自分のことではなく「おばーちゃん」なのだ。この子は。
「彼女とうまくいきますように!」だと?
(さしずめ今の俺なら「宝くじ当たりますように」とか「事故らないように」とかだろ?)
P子の優しさを知った。自分の小ささを知った。情けない奴だと思った・・・・・
※
帰りの道のり3時間。
俺は夕陽が良く見えるように。いつもより長く前傾姿勢をしてあげた。
それがP子への感謝の気持ちだった。
/=== 95'M900BlackFerrariDESUMO DUE 2002.04.04 27000km & LEGACY B4(BE5C) 4000km ===/
え?なぜ地蔵が上がるのかって?
ふん!レスが10以上ついたら教えてあげるぜ! :-p(←舌だし横顔文字)
4/6のオフ会の議題になったりして(笑)
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