二輪魂

遙かなる高みを目指し、もがき苦しみながら
Monsterを走らせ続ける男の挽歌

第三十六輪 あんなライダー

□コメント
いろんなスレッドが立ち、盛り上がってるところ恐縮だが二輪魂の時間です。(笑)

 「あんなライダー」とは梅宮アンナがバイクに乗ってる訳ではない。さらに今回の話では「あん
 なライダー」って言葉は後半にしか登場しない。本来ニたまの雑記帳に書こうと思ったネタだっ
 たが途中から二輪魂用に変更した。と言っても結構いいネタである。(と思ってる)。

 それと・・・第35輪では結局レスは10個にとどかなかったのでネタバレは控える。これは私
 のイジワルかも知れないけど「誰かがレス付けるだろう」と思ってレスしなかった方がいた事を
 残念だ。と思って欲しい。どうしても答えが知りたい方はsteveのカウンターで私にコーヒーを
 おごってくれ。:-P

 ってのはナシになった(笑)


□本文

平日の昼間。仕事先に向かう在来線の電車の中。目的の駅までは35分。気持ちよく寝ていると
 車掌が「おやすみのところ申し訳ありませんが切符を拝見いたします」ときた。(ちっ、ほんと
 に申し訳ねぇなぁ)なんて思いつつゴソゴソとポケットから切符を取り出すと車掌はそれにペタ
 っとハンコを押した。

 味気ないなぁ・・・自動改札がまだないころを思い出した。18年前。東京のとある駅。そこに
 は私はお気に入りの切符切りがいた。ラッシュアワーの中、次々とやってくる乗客の切符を銀色
 の切符鋏(はさみ)でパチンパチンと目にも止まらぬ速さでカットする若い切符切りの兄ちゃん。
 毎日毎日切符を切っていればその鋏捌(さば)きは相当なものだし、誰でもうまくなるだろう。
 しかしその兄ちゃんは鋏捌きを「芸域」まで昇華させていた。

 定期券の客が続くと当然切符を切る仕事がない。そんな時にその兄ちゃんは鋏を空中でくるくる
 回したり、トンっと台を叩いたりしてそれはそれはリズムカルに鋏を躍らせるのだ。調子のいい
 ときは鋏は凄い勢いで回る。「いつもより多めに回してますぅ〜」って奴だ。そして切符を持っ
 てる乗客が来ると右手で鋏を回しながら左手で客の切符を受け取り鋏が手元に戻ってきた瞬間に
 パチン!とカットして流れるように次のステップに入る。私はそれを見るのが好きだったので改
 札の10m手前からその兄ちゃんのいる改札を探して並んだりもした。

 単に見せ物として面白いのもあるが単純作業の仕事の中で「遊び心」を持ってるその姿勢が好き
 だった。自動改札になった今、あの兄ちゃんはどこで何をしているのだろうか?

 そんな古いことを思い出しながら時計を見るとまだ目的の駅まで10分以上もある。ぼ〜っとし
 ていると先ほどの車掌が私より5mほど先に座ってるじいさんに近寄って行くのが目に入った。
 じいさんは行儀の悪い格好で座席に座り、片足を座席に投げ出し、背もたれに深く座り睨みつけ
 るように窓の外を凝視していた。歳のころなら70〜75歳ぐらいだろうか?

 「切符を見せていただきますか?」車掌がそのじいさんに問う。
 じじい「・・・・・・・・・・・・・」
 「切符を見せていただきますか?」少し大きな声で呼びかける。
 じじい「・・・・・・・・・・・・・」
 (耳が遠いのかな?)車掌も私もそう思った。車掌はじいさんの顔を覗き込むようにして
 「切符を見せていただきますか?」と再度問う。しかしじいさんは相変わらず窓の外を凝視して
 いる。いくら耳が遠くてもこれだけ顔を近づけているのに気づかないはずはない。
 
  (死んでいるのだろうか?)

 じいさんをよく見ると浮浪者と言うか徘徊老人のような気もする。よれた服にコンビニの大きな
 袋。そして黒く大きなステッキ。(死んでいるのだろうか?)と思った場合、人間の次の行動は
 ある程度決まっている。車掌はじいさんの顔の前で右手をバイバイするように振った。

 その瞬間!「うわぁあ!」と大声をあげてじいさんが叫んだ。いや怒鳴った。車掌の顔は後姿な
 ので確認はできなかったが俺も驚いたし、回りの乗客も「何事?」と顔を覗かせた。

 (そんなに一生懸命考えごとをしていたのだろうか?)

 もうFerriraは興味津々モードに入った。

 車掌 「切符を見せていただきますか?」
 じじい「・・・・・・・・・・・・・・」
 車掌 「切符を見せていただきますか?」
 じじい「・・・・・・・・・・・・・・」
 車掌 「切符を見せて」(その言葉の後半はじじいの大声にかき消された)
 じじい「もっとらん!!

 (おいおい、無銭乗車かよ・・・・)

 車掌 「どこから乗ったんですか?」
 じじい「・・・・・・・・・・・・・・」
 車掌 「どこから・・」
 じじい「ワシントン!!」  (笑)←私
 車掌 「・・・・・・・・・・・・・・」

 車掌 「どこまで行かれるんですか?」あくまで丁寧な言葉使いはさすがだ。
 じじいは即答した。

 「ニュージーランド!!」   と。

 (うぷぷぷ、おめぇワシントンから陸路で行けねぇだろうが!)と一人ツッコミの私。
 ボケか?ボケ老人か?いつからあそこに座ってただろう?俺が乗ったときは居なかったよなぁ。。

 電車は短いトンネルに入りその間も車掌とじいさんはなにかしゃべっていた。トンネルを抜けて
 ややするとじいさんはズボンのチャックを上げ始めた(そう、今まで全開だったようだ(^^;)
 そしてその時「○○タマがどうのこうの」などとも言ってる。(あー・・このじいさん終わって
 るじゃん(^^;)と思ったが事態は意外な方向へ進む。

 チャックを上げ終わったじいさんは次にポケットの中に手をもぞもぞと突っ込み、なんと切符を
 出して来たのだ。そしてそれを車掌に手渡さず床に放り投げた。
 (なんと!こいつ確信犯かい!最初から車掌の声を聞かぬふりをし、質問にもわざと答えないで
 大きな声を出してたのか!)
 車掌は黙って切符を拾いペタっとハンコを押しじいさんに返そうとするとじいさんはそれを奪い
 取るようにむしりとってポケットに仕舞い込んだ。

 車掌とじいさんのイベントはこれで終わりだ。

 しかし私はかなり気分が悪くなった。同時にこのじじいに恐怖した。
 (アブネェじじいだ。目が合ったら何言われるかわかんねぇ。あの黒く太いスティックでぶん殴
 られたら怪我するよなぁ・・・)なんて思って目をそらし窓の外に視線を向けた。

 ・・・・・・・・思う。

 (あんなじじいにはなりたくねぇ・・・あんなじじいにはなりたくねぇ・・・・)

 40歳の今、30台に戻りたいとか、ましてや子供に戻りたいとか露ほどにも思わない。逆に戻
 りたくない。二度とごめんだ。と思う。また40になるまで生きなきゃならん。とんでもない。
 (別にイジメを受けたいたとか、ツライ過去があるとか、そんなんじゃなくて)

 40には40の生き様を楽しみたい。
 50には50の。
 そして老人になったら老人ホームで碁石(はか石じゃないよ、ゴイシ)を握ってるのがいい。
 あんなじじいにはなりたくない。
 あんなじじいになるくらいなら病院で機械に繋がれていたほうがマシだ。
 
 そして考えた。「あんなライダーにはなりたくない」ってのもあるな。と。
 あんなライダーとは二輪魂第20輪のような「あんなひどいライダー」のことだ。

 今はこんなこと言う奴いるのだろうか?昔はよく耳にした。
 『バイクに乗ってる奴に悪い奴はいない』と。
 もちろんライダー仲間だけでの会話だ。

 当然、暴走族などは論外であるが昔はInternetもなくライダー同士の出会いはバイク屋かツー
 リング先で出会うしかない。北海道で同じ飯盒飯(はんごうメシ)を食った仲間が「気に入ら
 ない」はずがない「いい奴」としての記憶した残らないしほとんどが2度と会うことがない。
 だから昔は『バイクに乗ってる奴に悪い奴はいない』と言ってた、いや、「言えた」のではな
 いだろうか?

 マスツーリングでは初顔合わせのライダーもいる。たとえそれがMMFCのメンバーであって
 ももしかしたら「あんなライダー(第20話)」がいるかもしれない。(無論、そうでないと
 信じているが) 

 でも中には逆に「Ferriraみたいな(あんな)ライダーにはなりたくない」と思ってる人もい
 るかも知れない。バイクの性能を引き出すことに興味はなく、見た目のカスタムに走り、言う
 ことはエラそうで小難しいし、説教くさい。「ほんとにバイクを楽しんでいるとは思えない」
 などと思ってる人もいるかもしれない。(別に最近Ferrira宛てに誹謗中傷のmailが来たわけ
 ではないのでご安心のほど(^^;)
 
 しかしそれはそれで私がこうして発言して自分を表現してるからであって、もし実際に私と会
 っても事前に私の性格がネタバレしてるのだから「嫌い」と思ってたら近づかなければいいだ
 けだ。それは私にとってもありがたい事だ。余計な気を使わなくて済む。(←ここ、笑うところ)

 いかん、なんか話がずれた(^^;

 要は。自分の中の「あんなライダー」とは何だ?と言うことを一度考えてみて欲しい。
 いますか?言えますか?そして「あんなライダー」に会ったことありますか?
 そこで今あなたの中で思い浮かんだ「あんなライダー」のことを考えてみると・・・・・

 悲しいかなその答えの根底は「あんな人間」を指しているに過ぎない。
 ってことを言いたかった。「私(Ferrira)を嫌いだ」って例をあげてね。
 (会ったこともないFerrariを嫌いだって言うのはライダーとしてうんぬんとかじゃなくて単に
  私の性格を嫌ってるってことだ。しかも文章だけを見て)
 
 結局同じ趣味、同じ車種のバイクに乗っていたとしても要は人間同士の交流が「全て」だ。
 その人間同士の交流をしてはじめて「好き嫌い」がわかってくる。
 「交流」はBBSやチャットでも可能だ。でもいくらネットで交流しても1時間喫茶店で話した
 ほうがいいに決まってる。そしてはじめて「あんなライダー」や「こんなライダー」に会うこと
 でそれが自分の糧(かて)になるんだと思う。

 MMFCの目的は「誰が何?」の辞書が欲しいって事だけで始めたのだが、今思うと「交流」の
 機会を作ることにこそ意義があるような気がしてきた。時々水面下では「メンバーが多くなって
 ・・・」とこぼす人がいる。しかし私はその人たちに一喝する。

 「今自分が好きな友達(人間)だって最初は他人だっただろ?」
 「メンバーが増えれば増えるほどもしかしたら一生涯の友人になる人と出会うかも知れないだろ?」
 「人と会うことに躊躇するな」 と。

 そりゃー俺だってメンバー全員と仲良し子良しにはなれないと思うよ。
 (こっちが望んでもね)←ここ、笑うところ。
 でも「会って話す」まではその結論は早い。

 人それぞれ違う考えを持ってるのは当然だ。でもみんなの中で20話のような「あんなライダー」
 にはなりたくない。って気持ちだけはもって欲しいと思う。

 ん?・・・・・・・・・・

 時々、「俺はなんのために二輪魂を書いているのだろうか?」と思うときがある。
 よりよいライダーの指針を文章化することか?(そんなん無理だ)(何様だ)
 みんなが俺と同じ気持ちになって欲しいのか?(そんなアホではない)
 ならなぜ「あんなライダーにはなるな」と自分の考えを押し付ける?

 そうだな、押し付けてはいけない。

 みんなの中で、自分の中で「あんなライダー」のラインを持って欲しい。
 もちろん憧れの「あんなライダー」も持って欲しい。
 
 そして重要なのは「あれ?昔は「あんなライダー」と思っていたのに・・・」ってこともある。
 人間、流れる月日の中で変わることもある。
 たった1度の交流ではその人の1/100もわかってないことを忘れないで欲しい。
 
 簡単に人を嫌うってことは「もったいない事」だと思う。
 (ps.別に電車の中のあんなじじいを好きになれってことではない(笑&自爆))
 (でもほんとうに人間が好きな人間ならあのじじいにも優しく声をかけるんだろうなぁ)
 (そんな人格者はえらいと思うが「なりたい」とは思わないね :-p)

 以上、実質2本分の話でした。

/=== 95'M900BlackFerrariDESUMO DUE 2002.04.14 27000km & LEGACY B4(BE5C) 4300km ===/
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