二輪魂

遙かなる高みを目指し、もがき苦しみながら
Monsterを走らせ続ける男の挽歌

第三十九輪 解放

□コメント
約2ヶ月ぶりの二輪魂。。。。。『Ferrari号復活にあたり、書かずにどうする』と思った。

□本文
7月20日午後。
 steveのカウンターでアイスコーヒーを飲んでいるとセル音と共にドドドドドドと聞きなれた
 Lツイン+テルミの音が聞こえた。「あ、俺のバイクだ」と音でわかった。
 空冷でテルミなら音は同じだし、他の客のバイクかもしれないじゃん。と思うかもしれないが、
 微妙なセルのかかり具合とか、乾式の加減とかで愛馬の音なら見なくてもわかるさ。

 3月中旬に車検でドック入りし、4月21日の美祢(みね)MonsterMeetingまでカスタムシート
 の加工で乗れなかった。美祢のイベント1週間後にはシートカウルの色塗りと周辺の調整をすべく
 再度ドック入り。
 あいにく塗装屋(鹿児島)が工場建て直し?のため待ちモードに入り、美祢から約3ヶ月目にし
 てやっと乗れる日がやってきた。

 つまり3月中旬から7月中旬まで約4ヶ月のうち美祢往復+αで500kmほどしか走ってないわけ
 である。

 そんな「待ち」の時間のなか、「乗りたいでしょ?」とか「ゴールデンウィークなのにバイク無
 くていいの?」とか言われることもあったが本人は意外と「いや別に・・」てなカンジであった。
 自分でもなぜそんな反応をとるのか、とれるのか?、と少々自分でも戸惑う感もあったがホンネ
 だからしょうがない。

 もちろんバイクは好きだ。けど「これでもう二度と乗れない」なら禁断症状も出ようものだが、
 自分にとっては「まだまだずっと乗る」気持ちでいるのだし、その余裕?ってのがあるから「別
 に今乗れなくてもいいさ」程度のプレッシャーでしかなかったんだろう。バイクが無いなら無い
 ですることいっぱいあるし。

 だからsteveのガレージで命を吹き込まれたアイドリング音を聞いても「あ、俺のバイクだ」と
 ニヤリとはしたものの大して喜びも感動も緊張もなかった。「久しぶりだね(^^)」そんなカンジ。
 むしろFerrari号自身の方が喜んでいたのかも知れない。やっと散歩に連れて行ってもらえる犬の
 ように。



 久しぶりに見たFerrari号はもはやMonsterの面影はなく、cityのバックは「どこへでも行けます!」
 と闘志が伺(うかが)える。クラッチはなんちゃってSTMでドレスアップし、見た目も気持ちよく
 気に入った。夕方にsteveを立つ。

 どうせならと初めてドカティ福岡に寄った。steveから15分ほどの距離。
 客は2、3人だが俺のFerrari号には見向きもしない。ま、それも当然、なんと駐車場には真っ黒
 の本物のFERRARIが止まっていた(F355?かな?)。なもんで俺のFerrari号が小せぇ小せぇ(^^;
 まるでギャグだ(^^;
 客は998にまたがったりして「速い?」なんて店員に聞いてるから相当お金持ちさん達(^^;
 店内をぐるっと回って見向きもされないのでさっさと引き上げるFerrari。とFerrari号。
 「泣くんじゃないよ!Ferrari号!おまえはカッコイイさ!」と声かけながら。(笑)

 それにしても暑い!しかも3号線は面白くもなんともないし、かなり渋滞。KUSHITANIのメッシュ
 ジャケットにKUSHITANIのメッシュジーパン(裏地がメッシュになってるだけよ)でも止まると暑
 い!だから必然的にスピードを上げたくなるし、すり抜けを多用することになる。そんな運転して
 て思ったこと。

 久しぶりのバイク、いや、久しぶりのDUCATIで運転を忘れているのではないかと思ったが。。これ
 は全然杞憂(きゆう)であった。ごく普通にアクセルを開け、シフトチェンジし、ポジションが少
 し変わったと言ってもシート高が1cmぐらい下がっただけだし、セパハンはもう体が覚えてるから
 苦痛でもない。だから全然普通にすり抜けしたりフロント浮きそうな引っ張りしたり・・・・

 そんな中、久しぶりのバイクを俺はどう感じていたか?と言うと「かぁー!やっぱバイク楽しいぃ
 ぃぃぃーー!」と思ったのかと言えばこれまた全然普通に「ん?エンブレでちょっとジャダー出て
 るかな?」とか「シートやっぱ硬いかなぁ・・」とかそんなカンジでとても久しぶりに乗ったバイ
 クを「堪能」するわけでも「感激」するわけでもなかった。ましてや「緊張」なんて。
 自分でも意外に冷静だなぁ、と思ったのだがやはりそれほど(狂喜乱舞するほど)Ferrari号復活
 がピンと来ない。

 なぜだろう?

 20年乗ってきて、さらにまた20年乗るとして、バイク人生のちょうど中間点に来たライダー
 にはもうバイクという新鮮さ、乗る喜び、走る楽しみ、などは枯れていくのだろうか?それとも
 生活の一部、というか自分にとってあたりまえすぎる存在なんだから「在ること」が当たり前で
 あり、「自然」だから喜びもないのだろうか?たとえば新婚生活と結婚14年目の女房と同じっ
 てことか?(核爆!)

 そんな思いの中、自宅到着、約1時間のライディングは無味感想に近かった。

 しかしその思いは次の日に一変した。
 忘れていた遠い遠い昔の感覚、400ccどころか原付に乗っていた「喜びの日々」をあるきっかけで
 思い出した。



 次の日、cityバックのキーが短くて鍵を回すときにカウルと干渉してしまうのがイヤで近所の鍵屋
 に行った。鍵屋はとても丁寧で「作った鍵を試したいからバイクも持ってきてくれ」と言う。
 そこで一旦家に帰りFerrari号で再度鍵屋へ向かった。道のりは5分もかからない。
 そんな距離でメッシュジャケットを着ることもせず、普通のジーパンとTシャツ、そして安物のスニ
 ーカー、グローブだけはいつものデグナーをして向かった。それが「きっかけ」だった。

 鍵屋で新調した柄(え)の長い鍵はうまく合い、一件落着したあと、せっかくバイクだしたから
 少し遠回りでもしようと国道にでた。天気は昨日よりも快晴でしかも暑い。

 脊椎パッドも無いもない装備でバイクに乗るなんて何年ぶりかなぁ・・・なんて思いながら国道に
 出てアクセルを開けた瞬間、「あ・・・」と電気が走った。
 
 Tシャツから剥き出しの腕にぶちあたる「風」!
 足首から入り込む「風」!
 首から肩に感じる「風」!
 はためくTシャツ!
 胸に感じる「風圧」!

 はっきり言って冗談でもなんでもなく、34度の真昼の国道で俺は「鳥肌」が立った。
 胸からなにかが湧いてきた。
 
 (これ・・・これって・・・・あったよな・・・ずっとこんなんで走ってたよな)
 (サンダル履きで九州一周したんだよなぁ・・・)
 (Tシャツだけで美ヶ原高原行って寒かったもんなぁ・・)
 (こんな風を捨てて安全、安全を言い革ジャン着る価値あるのだろうか・・・)

 車を運転してて、はたまたドカに乗っていて街のTシャツライダーを見るたびに「ばかだなぁ・・」
 と思っていた。確かに「バカ」である。怖いもの知らずである。

 しかし!

 しかしこの「快感」はなんなんだ?何年ぶりだ?全身が風にまみれて走りぬくこの快感!
 まさしく『解放』『自由』『生の実感』。


  
 もちろん勧めはしない。俺も次にバイク乗る時はもう1回Tシャツにしよう。なんても思わない。

 ただ、
 そうね・・・・年に1回ぐらいはTシャツライダーもいいかな?なんて思った。
 
 あの喜びに満ちた怖いもの知らずの若き原付ライダーを思い出せるなら。

 /=== 95'M900BlackFerrariDESUMO DUE 2002.07.22 27000km & LEGACY B4(BE5C) 6100km ===/