二輪魂

遙かなる高みを目指し、もがき苦しみながら
Monsterを走らせ続ける男の挽歌

第四十四輪 夏才と財、そして幸(さち)

□コメント
(遅ればせながら44話です)

 先日、私のサイトで心震えるような書き込みがありました。
 書き込み者はsteve(マロッシ)営業のデュークさん。
 マイナーな二輪魂BBSに眠らせるのはもったいなく、また、42輪、43輪に続いてとてもタ
 イムリーな話と思った。そこで本人の許可をとり、二輪魂44話として紹介させていただき、
 あわせて私のコメントを綴ります。

□本文
=========================(原文を改行調整のみ行なってます)

タイトル : あるお客さん(中文)

 ある日、ホンダ・ホーネット250が店の前に止まりました。

 ジーンズにポロシャツで背中にはディパックいう出で立ちでしたが、ヘルメットを脱いで店内
 に入って来られると、その方が若いライダーではないということがわかりました。
 店内を一通り見回し、二言三言問答したところでその方は以前、街中で「YAMAHA」と書いてあ
 るがどう見ても日本のデザインではないスクーターを見かけたので、図書館に行って(図書館
 というのがシブい)バイクの本で調べたら、他にもヨーロッパにはデザインがすばらしいスク
 ーターやバイクがたくさんあることを知ったとのこと。
 その中でもイタルジェット・ドラッグスター
http://www.italjet.com/eng/04/index.htm
 のデザインのすばらしさに惹かれて、取り扱っている店を探していた・・・などといったこと
 をお話になっていました。

 「好きなんだなぁ〜」と思っていると次に我が耳を疑う言葉が・・・

お客さん:「私、70なんですよ」
  私 :「は!?」
  私 :「ななじゅっさいですか?」
お客さん:「はい」

 70歳といえば私の中ではもう「お年寄り」というイメージの年齢です。
 それがどうでしょう、ホンダ・ホーネットでやって来てドラッグスターが欲しいとな!若い、若
 すぎる!さらに自家用車はホンダ・CR−Xデル・ソル(げぇぇっ)
 最近気になっているクルマはニッサン・プリメーラ。「デザインが良いクルマは日本ではあまり
 売れない・・」

 納得・・・

 「日本人は趣味を持てない、趣味が無いから日本企業のトップはリタイヤせずにいつまでも会社
  にしがみついて、会社の体質が若返らない」

 納得・・・

 なかなか楽しい時間でした。

 結局、ご成約いただいたのですが、見送りに店の外に出ると、その方は軽く会釈してギアをロー
 に入れ、交通量の多い通りのクルマの流れの切れ目をすばやく見切り、普通に「ビューン」とク
 ルマの流れに乗って(しかも右方向に)走り去って行きました。

 3日後、納車に行ってきました。
 車庫にはデル・ソルとホーネット、古い(けど綺麗な)ダックスがありました。
 操作説明などをひととおり終え、私が帰ろうとするとそのお客さんは一言



 「昨日は眠れんやった」



 歳を重ねると「アレ欲しい」「コレ欲しい」っていうのがなくなり、一般的に「悟っている」など
 といわれますが、そういう意味では「悟り」たくないと思いました。
 いつまでも「コダワリ」(という名の欲望・煩悩です・笑)を持ち続けたいですね。

では、また
 ========================================原文終了

 
 「昨日は眠れんやった」とは「嬉しくて、楽しみで、」との意味である。
 そう、遠足の前日のあの気持ちの高鳴りだ。
 70で、スクーター納入を目の前にして「嬉しくて眠れなかった」のである。
 自分が70になったとき、果たしてそんな気持ちがあるだろうか?残っているだろうか?
 悲しいかなMonster納車の時だって「眠れない」ほどの興奮はなかったと記憶する。

 そして「昨日は眠れんやった」の言葉に隠れて忘れがちになってしまうがもう1つ名言がある。

> 日本人は趣味を持てない、趣味が無いから日本企業のトップはリタイヤせずにいつまでも会社
> にしがみついて、会社の体質が若返らない

 ここだ。私も常々、趣味を持てとココでも会社の若い奴にも言っているがそれに日本の企業体質
 を引き合いにだすところなど、さすが御歳70である。きっと大きな会社の重役さんじゃなかっ
 たのだろうか?なんて想像もしたくなる。それも立派な重役だったと。

 そしてちょっと庶民に嬉しいのが車がベンツやNSXでなく、デルソルであり、プリメーラに憧れて
 いるというところ。なかなかの意志がないとチョイスしないシロモノだ。

 42話で「才」を書き、43話でそれを覆(くつがえ)すような「財」を書いた。
 しかしこの44話のタイトル「才と財、そして幸(さち)」。
 そう、人が人として一番ありがたく、美しく、欲しなければならないのは才でも財でもなく幸。

 この老人にどんな才があると言うのだろう?
 この老人にどんな財があると言うのだろう?

 才とか財とかそんなことは「全く関係無い」のである。

 志(こころざし)とか、意志とか信念とか、目標とか、そんな大層な言葉はいらない。
 心、気持ち、考え、そんな簡単で単純な言葉。
 あえて言葉で表すなら「心根(こころね)」なんて言葉が似合うかな?とにかくそれが一番大切
 なんだ。と、この書き込みを読んでそう思った。

 才があるにこしたことはない。財もしかり。
 でも「あればいい」程度のものさ。きっと。

 あと30年後、剣汰ならあと50年後。
 70歳なんて想像もつかない。
 けど30年たってもこの話は忘れない。忘れていたらダメだと思う。

 70歳の俺が書く二輪魂はどんな話になるのだろうか?
 それに一番興味津々なのは俺自身である。
 とてもイイ話なので私のコメントで暈(ぼか)すのもなんなので短めの二輪魂として今回はこれ
 にて終了。

 デュークさんに感謝。

以上
/=== 95'M900BlackFerrariDESMO DUE 2002.10.03 29200km & LEGACY B4(BE5C) 7200km ===/