二輪魂

遙かなる高みを目指し、もがき苦しみながら
Monsterを走らせ続ける男の挽歌

第四十六輪 JDD(四国編)

□コメント
JDD(四国編)

雨・・いや集中豪雨。
 走るしかなかった。走ることだけが出来ることだった。走ることが存在意義。生きてる証。

 避難勧告が出るほどの豪雨。
 そんな中、私は夜の高速道路を走っていた。広島まであと30分。

 雨、雨、雨、・・・そして雨!
 今までのバイク人生でこんな音は聞いたことが無い。
 恐怖。まるでヘルメットの上から五寸釘をばら撒かれているようだ。バリバリバリバリバリ!
 シールドに跳ね返った雨粒が白く踊り狂い視界を奪う。川のような高速道路。
 その真っ黒の川でかすかに見えるものと言ったらセンターラインの白い線のみ。
 右も左も上も下もバックミラーの中も闇。

 その闇の中を白い線がただまっすぐ、吸い込まれるように奥に奥にと伸びている。怖い。
 けれどこれはまるで蜘蛛の糸だ。
 冥界から現世へと伸びるたった一筋の光、道しるべ、生への執着、魂の尾、それがこのセンターライン。
 この白い糸を見失ったら俺は死ぬ。。。止まっても死ぬ。

 走るしかなかった。走ることだけが出来ることだった。走ることが存在意義。生きてる証。

 頑張れF号!頑張れ俺!俺は死なん!

□本文
フェリーの風呂場から電飾美しい観覧車を見たあとは軽い食事をしてすぐに寝た。昏々と寝た。

9月16日 朝6時
 9時間寝た目覚めはかなり気持ちよかった。
 船内をうろつく。
 そしてまた2時間ほど寝た。
 目覚めて自動販売機のホットドックを食べた。
 オーシャン東九フェリーは食堂がない。食事は乗船券を購入する際に強制的に手渡されるプリペ
 イドカードを使って全て自動販売機の食事を購入する仕組みだ。カードは2枚あって度数は「2」
 と「3」の2種類。うどんや、ホットドック、シュウマイ、「あ、これ食べよ」のカレー、など
 どれを選んでも度数は「1」。コストパフォーマンスから言えばカレーが一番価値があるようだ。
 もとより食い物には執着心がないし、ジャンクフードも好きなので私にとってはいろんな種類の
 自動販売機のしょうもないメニューにウキウキする。高速道路のSAなどで見かける焼きおにぎ
 りの自動販売機なんて見た事はあるが食ったことがない人がほとんではないだろうか?しかしこ
 の船中ではそれを食う選択が出来る。度数「5」を何に使おうか?設備の悪い船でも私はそんな
 単純なことでも旅してる楽しさを感じていた。
 缶ジュース、ビールなどは現金であるが今回の旅では結局行きも帰りも船中でビールは飲まなか
 ったなぁ。。

 ホットドックを食べながら私と同じ徳島(四国)で下船すると言うR−1乗りの若いライダーと
 話をした。四国在住の彼なら四国の情報も多く知っているだろうと雑談も弾む。しかしホットド
 ックで満腹になったのか(←安あがりの奴(笑))、また眠気が誘う。そのまままた寝た。

 10時ごろのそのそと2等寝台のベットから起き上がり(オーシャン東九(東京→門司)はザコ
 寝の2等部屋は無く、最低ランクが2等寝台であり、寝る分にはかなり満足。ベットの上には小
 さな蛍光灯まであるので消灯で本が読めなくなる心配もない)、ふと外を見ると凄い雨が降って
 いた。「えー・・・四国も雨なんかなぁ・・・・」
 と心配してもしょうがないので13時30分の徳島着までベットでごろごろと本を読んだり、ま
 た自動販売機の前で長々と立ち尽くし長考したり、地図を広げたりして時間を使う。決して暇つ
 ぶしな感覚ではなくそんな時間が楽しい。

 紀伊半島の先端、潮岬を通過する際、船内にその旨が放送された。そりゃー見に行かねばなる
 まいと甲板へ出るドアに近づくとなんと外は快晴!夏のような日差しが濡れた甲板をキラキラと
 光らせていた。「よっしゃ!」と思わずガッツポーズ。(^^)。

下船:
 船を降り、一旦とまって甲板で見送るオフロードライダーとQに手を振り、R−1ライダーに導
 かれながら最初の国道「55」に入り、192号線との分岐点でR−1にお礼を言って別れた。
 さて、ここからが四国おにぎり狩りPART?Tの始まりだ。
 ※おにぎり狩り:私のサイトでやってる「ドカで日本の全ての国道を走った記録写真を撮ろう」
 という企画。「おにぎり」とは国道道路標識の形状から来た言葉。国道制覇隊員、現在14名※

 今日中には広島に戻る。22時までに戻るとして約8時間でいかに数多く「狩る」か?
 いずれ四国編part?Uを書くつもりだが、とにかく今日広島に帰るまでの8時間と4日後に再度四
 国に渡り九州に帰るツーリング(2泊3日の予定)のツーリングで四国本土のおにぎりを全て狩
 ってしまおうという短期決戦ミサイルツーリング。ナビゲーターは100円ショップで買った四
 国全土の地図と愛媛県の2つの地図だけ、あ、それと俺の頭脳(8bitCPU程度)。

 四国に国道が何本あるか?        答えは28本。

 28本全てを最短コースで通過するには、いったいどんなルートがいいのか?(国道全てを「走り
 通す」わけではない。十字路で二本の国号が交差していればその交差点でちょいと右折か左折して
 交差する国道のおにぎりを写真に収めてまた交差点に戻り本ルートの国道を走る。そんな意味)

 今まで何度もロンツーをして来たがこんな視点(国道を効率よく通過する視点)で地図を見た事
 なんてないし、実際試しに四国の道路地図を開いて見るといいがまるで「パズル」である。しか
 し船中で考える時間はあった。学生の時に勉強した線形不動点回帰演算解析論を覚えていたのが
 幸いしてさくさくとルートが決まる。もちろん嘘である(線形不動点回帰演算解析論?)

 ペンで国道を塗り塗りしながらあーでもない、こーでもない、こっちを優先すればあっちが遠い、
 あっちを回ればまたこっちに戻れねばならん。。。ほんとにパズル。
 ま、とにかくルートは決まった。100円の地図はどんなに落書きしても気にすることもないし
 、使い捨てで長い期間使うつもりが無ければまさしく「狩り用マップ」として最適と思った。
 

 香川県:
 讃岐うどんが有名なこの地方、R−1のライダーに言わせると讃岐うどんは香川でも「西」の方
 が本場だと言う。麺類は大好きなので機会があれば食ってみようと思いつつ、今回、結局讃岐う
 どん屋には寄りもしなかった。「えー!なんでぇ?」と思われるかもしれないがそんな奴である、
 私は。観光地巡りや名産、名物はツーリングの対象じゃないのよね。無視はしないけど。
 で、
 ツーレポで細かいルートを書き綴るのは余り好きでないので大まかなルートと旅の出来事を中心
 に話を進める。

 まず「本線」としての位置付けで192号線をチョイスした。その192号線を「背骨」に見立
 て、その背骨から左右に伸びる、または交わる国道が「あばら骨」になるわけだ。腰から首に向
 かって走り、最後に高速に乗り、瀬戸大橋を渡って西条IC(広島の2つ手前のIC)で終了。
 
 そんなルートで今日中に7本を押さえれば、来週の四国ツーリングは徳島県、香川県に立ち入る
 ことなく残り21本を押さえることができる。つまり、徳島県、香川県にしかない国道を重点的
 に回るルートだ。
 この構想のもとで今回一番「遠く」にある国道は319号線である。319を地図で見ると「大
 歩危(おおぼけ)」「小歩危(こぼけ)」の名前で有名な紅葉の観光地のちょいと手前(山城町)
 から西に伸びる国道だ。(と、ここまで書くと四国(香川)出身の方はちょっと不思議に思うだ
 ろう。「え?319って・・・」と。ふふふ、ま、それは今から話すネタなんでとりあえず無視
 しておいてください。)

 背骨の192を西に進みながらあばら骨を狩りつつ走る。(制覇時間はデジカメ画像より)
   14:33 318号線 
   15:04 193号線 
   15:14 192号線 (本線)
   15:22 492号線 
   15:41 438号線

 と、ここまで狩り、池田(甲子園で有名な池田高校のあるところかな?)から32号線を南下し
 小歩危に向かう。(32号線は高知まで伸びる長い国道なので次回の狩りに回した。)そして山
 城町までもうあと1、2kmというところで片側一車線の32号線が大渋滞。しかも対向車が1台
 も来ない。「んん?これはなんか変だな?と思って反対車線を走って((^^;)渋滞の先頭にたど
 りつくとぐちゃぐちゃの車が上下車線を堰き止めるように事故っていた。救急車も警察もまだ来
 ていない。
 うわー・・・やっちゃってるよぉ・・・・と思いつつバイクにまたがったまま車を観察すると、
 何故か不思議なことに車の中には誰もおらず、周辺に怪我してる人もいない。エアバックも開い
 てないのがなおのこと不思議。車は右フロントから運転席にかけてぐちゃぐちゃなのに。。。
 状況を想像するに緩い左カーブで居眠り?してそのまま右車線の石柱(ガードレール?)にぶつ
 かったように見える。しかしなぜか怪我人がいない。と言うか野次馬が10人ぐらい車の中から
 出てきていたが事故の当事者も誰かわからない。。。
 車はヤンキー仕様でも走りや仕様でもなく、普通の4ドアおっさん車である。「飛ばしすぎ」の
 事故って感じはしない。でもぐちゃぐちゃ。
 
 もしかしたら・・・・もしかしたらトレーラーの上に載せて運搬していた4ドア車が「転がり落
 ちた」のかもしれない。。。だって、これだけ↓の事故で怪我人がその場に「いない」んだもん。
http://www.koa.jp/ducati/Ferrari/JDD020914/jiko.jpg

 私が現場についたときはでかいトレーラーがワイヤーで事故車を引っ張り、せめて片側車線だけ
 でも走行可能にしようとしている場面だった。それも結構時間がかかる。ややして警察も来る。
 うーん、あと少しで319ゲットなのにぃ・・・あと10分も走れば319なのにぃ・・・・・
 あーん・・・ここで319ゲットしないと次回の四国ツーでこっちまで足を伸ばさないといけな
 いのよねー、うーん、うーん、。。。。
 時刻は16:25・・・もうそろそろ夕闇が来る時間だ。
 事故現場の横を散乱した破片を縫(ぬ)うように抜けて向こう側に行くこともできる。(かなり
 の視線は浴びるだろうが(^^;)・・・319は狩っておきたい・・・目の前にあるはずだ・・・
 でも・・・でも・・・ふと思ったのだ。ツーリング特有の「カン」って奴だろうか?経験のせい
 だろうか?
 15分後、私はくるっとUターンして今回の旅の帰路に入った。

 『これ以上進むな』『行くな』『来るな』『帰れ』 

 神の啓示だ。それが聞こえた。神が言っているのだ。神がこの先へ進むことを妨害している。
 警鐘だ。訓示だ。警告だ。そう思った。そう、そうやって俺は今ままで生き長らえてきたんだ。

 いったん帰路に入ると焦りもなくなり、腹が減ってきた。思えばフェリーを降りからて何も食っ
 てない。そこで小歩危に向かう途中で目に入ってたちょっとこぎれいな喫茶店?かレストランの
 ような店で食事を取る。ちょっと変わった店で「手作りパン」なんかも販売していた。食事とい
 ってもミートスパゲティかハンバーグランチとかそんなお子様メニューが好きなのでそんなもの
 を注文するつもりだったのだが「手作りパン2個+コーヒーセット」で600円?が安いし気に
 なったのでそれを注文。で、それが「まいう〜」なんよ。アップルパイと大きめで砂糖をまぶし
 たロールパンだったかな?もう、こりゃーうまい!って思ったな。麺好きでもあるがパン好きで
 もあるのでパンには少々ウルサイ俺が。
 しかし讃岐うどんの本場でアップルパイに満足してる俺って(^^;

 と、4時間走りっぱなしだった体を休め、ひとこころつき、ケータイで自宅の妻に電話をした。
 「こっち(九州)はめちゃめちゃ凄い雨降ってるよー、ダーシュも家の中に入れたぁー」
 で、慌てた。まずい。九州→広島に雨が移動して来るのは明らかだ。17時でまだ四国にいる。
 せめて早いとこ本州に行かなければ。。「帰らなければ」。

 そそくさと勘定を済ませ空冷キャブLツイン始動。
 しかし思った。神が道をふさぎ、それがトリガーとなってメシを食い、電話をして雨を知った。
 やはりそうなのだ。あれは啓示だったんだ。と更に勝手にうなずいて一路32号線を北上し、
 ルート上の琴平町で交差する377号線をゲット(17:49)
 さぁ、これで今回のおにぎりは終了。319だけは撮れなかったがまたいつか来ればいい。そう
 そう楽しみを減らすことも無いだろう。それも運。そんな事もあるわな。と後ろ髪を引かれなが
 ら善通寺ICを目指す。このICに乗ればあとは一気に広島まで160km。2時間あれば十分だ。


 377を狩り、その10分後。私はあらためて神の啓示の意味を知った。驚いた。

 なんとあきらめた319号線が目の前に、まさしくこの今走ってる道が319号線だったのだ。

 100円ショップの「四国全土」の地図では国道番号の記載も細かくない。てっきり319号線
 は小歩危まで行かないと狩れないと思っていた。しかしなんのことはない。帰りのルート上にし
 っかりと入っていたのだ。つまり神は「こんなところ(小歩危)まで来なくても319はあるよ、
 さっさと帰路につきなさい。雨も迫っているよ」と、そう言っていたのだ。我ながら感心する(笑)

 そんなこんなで計画通り?(^^;全てのおにぎりをゲットし、瀬戸大橋を、いや、四国ー本州を始
 めてバイクで通過した。時刻はもうそろそろ18時半。橋の途中で展望台のようなSAがあるの
 を知り、九州からの雨足も気になったがそれこそ二度と渡らないかも知れない瀬戸大橋の記念写
 真ぐらいは撮っておこうとSAに寄り写真を撮った。それがまた露出設定でかなーり悩んで20
 分ぐらいはカメラと格闘してました。夕方が夜になるギリギリのこの時間。見たままの暗さと橋
 の明かりを表現し、かつ、バイクはピシャリのディテールで撮りたい。テーマ(目標)があると
 写真は面白と思った。


 橋を渡りきりもうほんとにあとは帰るだけ。2時間走るだけ。しかしこの旅はそうそう簡単に終
 わらせてはくれなかった。中国自動車道に乗り順調に走っていたところポツポツと。ついに雨が
 ポツポツと・・・・・・・

 <文頭に戻る>


 21:10 蜘蛛の糸の先には温泉があり、私はそこに漂っていた。
 F号もシートカバーに包まれている。
 カバーをかけるときに「ご苦労さん」と声をかけたが「まだまだ(行けまっせ!)」と言われたよ
 うな気がした。

 東京急襲突貫ツーリング

  期間:9月13日(金)〜9付き16日(月)
     3泊4日(船中2泊、野営1泊)
  走行距離:約1,000km(高速750km、国道250km)
  狩ったおにぎり:7個
  もらったトロフィー:1個  
  思い出一覧:2等寝室、名神東名、首都高、ジャカッセ、MMFC、なすび、野営、スパムハム、
        お台場、JDD、受賞、観覧車、二等寝台、徳島、香川、啓示、瀬戸大橋、豪雨、温泉。
 以上
/=== 95'M900BlackFerrariDESMO DUE 2002.10.02 29200km & LEGACY B4(BE5C) 7200km ===/