二輪魂

遙かなる高みを目指し、もがき苦しみながら
Monsterを走らせ続ける男の挽歌

第四十九輪 四国陥落(下)

□コメント
四国陥落(下)

 さて続き。

 上巻で書き忘れたこと1つ。
 高知に入るとそれはそれはいい天気で暑かったぁ・・・それだけ(^^;

□本文
さて、493をゲットして一安心、今回の最大目標はクリアできたわけだが19時半となり今から
 どうしようか?と考えながらとにかく高知まで戻ることにした。高知→493までの道中でどこか
 泊まれるところ、または野営できるところはないかと目を配らせていたのだが全然それらしい場所
 もない。高知で泊まるかな・・・・なんて思いながら途中55号線を1つ狩り高知に着いた時には
 21時近かった。
 そう言えば昼のカレーセットから何も食べてないことを思い出しファミレス(ガスト)で目玉焼き
 ハンバーグ(380円の奴)などを食べ思いにふける。

 どうーしようかなぁ・・・どこで一泊しようかなぁ・・・・

 でも考えるのが面倒になってなんとなく決めていたルート上を走ることにした。21時と言っても
 寝る時間ではなし、なんとかなるさ。そんなカンジ。(21時すぎてるのに(笑))
 高知から西へ50kmほど進み佐賀町というところまで進む。
 この時点でもう22時を回っていた。田舎道にぽつんと明かりを灯しているコンビニで休憩がてら
 そろそろ真剣に寝るところを考え始めることにした。

 まずはそのコンビニ周辺が結構野営ポイントとしていけそうだった。近くに小さな道の駅風のパー
 クもあり、コンビニの横には水道もある。パークの駐車場は長いロープが張ってあるものの弛みが
 あるので楽々バイクは進入可。そして小さな小屋がありその裏手でイグルー(テント)を張ればひ
 と目にもつかない。
 ただ、小さな小屋からなにか音がするのでなんだろうと思って中を覗き込むとなんと「水車小屋」
 だった。たしかに小屋の外側に大きな水車が回っている。実用で使っているものではなく、見せ物
 として設置してある様な感じだ。そして覗き込んでその音の正体がわかった。水車小屋の中には杵
 (きね)が臼(うす)を叩いており、
 バタン・・・・ギィ・・・・ゴトン、バタン・・・・・キィ・・・バタン・・・としっかり動いて
 いやがるのだ。この横でテント張ったらきっとその音が気になってなかなか寝付けないに違いない
 事は楽に予想される。リズムは一定だが聞き慣れた音で無いし・・・
 Fは静かでないと寝れない性質(たち)なんだ(^^;
 耳栓は持っているがさすがに野営で耳栓すると必要な情報もカットされてしまうのが怖い。

 たとえば明け方になって近所の車や人やパークの従業員がテントの周りにやって来ることを想像す
 るれば、怒られるかもしれないからその気配は1秒でも早く察知しなければならない。テントの中
 で目が醒めてふと外を見ると小学生の野次馬に囲まれていた。なんて結構イヤっぽい。
 ま、小学生の団体ならばいいが深夜に目が醒めて暴走族の集会所だったりする場合もある(^^;

 1人で「勝手な場所で」野営する場合、「ひと目につかない場所を選ぶか」それとも「ひと目につ
 く場所を選ぶか?」は野営ツーリストの永遠の悩んではないだろうか?(大げさ(^^;)。特に公の
 キャンプ場で「キャンプ」するのではなく「野宿」「野営」の場合は。だ。
 ひと目につかない場所ってことは誰にも見つからないから安心ではあるが逆に1人の犯人?に殺さ
 れても助けも呼べない。誰かが偶然発見した時には白骨化。とか(^^;
 ひと目につく場合もこれはこれで腐れ不良集団の「的(まと)」として散々な目に会う可能性が高
 くなるのが問題である。賭けに近い。

 これはジモチー(地元の人間のこと)ならば「そこは安全」「あそこはヤバイ」とわかっているが
 旅人にはその判断が出来ないところがイタイ。
 かと言ってジモチーに「あそこでテント張るのはいいですかね?」なんて聞いても「あ、いいんじ
 ゃない?」なんてなかなか言ってくれない。
 だって本来テントを張るような場所でないわけだし、「いいよ」と何の権限で「許可」できる?
 自分の地元の住宅街で「あの公園にテント張っていいですかね?」なんて俺が聞かれたとしても、
 「うん、いいんじゃない?」と言う前に「なんでそんなところでテント張るの?おまえは誰?何?」
 と思うだろう。
 もちろんツーリング装備してればそれなりに(俺なら)理解はできるので「テント張るならそこよ
 りも・・」とかアドバイスも出来ようし、逆に「泊まっていきなさい」とイベントが発生すること
 もある。実際、俺もそうやって見知らぬ人の家に泊まらせてもらったこともある。(それはそれで
 結構怖いけど(^^; 【二輪魂】28輪:宿 参照)

 ましてや「私有地」にテントはまずい。それこそこっちに100%非(罪)があるわけだし。

 うーん・・・・どうしようか・・・・・次の街まで約30km。そこならホテルでもあるだろうか?
 そこならもっとイイ野営ポイントがあるだろうか?そう思ってコンビニのおばさん店員に缶コーヒ
 ーを買うついでに聞いてみた。
 「次の中村って街にはホテルとかありますかね?」と。
 しかしおばさん曰(いわ)く、
 「さぁ・・・わかりませんねぇ・・・・」ときたもんだ。おまけに目もあわせない。

 え”−!っと思う。
 たかが1時間もかからない隣町だぜ?ビルがあってホテルがあるような町かどうか知らないなんて
 事はねぇーだろうが(><)と。
 その店員はあきらかにジモチーだ。だってだんな?と一緒に店にいたし、23時で閉まるその店か
 ら車で帰って行ったのも目撃した。車にはその子供らしき人影もあった。

 ち!その程度の人間か。
 機嫌が悪かったかも知れないし隣町のせいで過疎が進み、不景気で経営も苦しくなったかどうか知
 らないがニコリと笑うこともしないコンビニ経営者なんてこっちから願い下げだ。とケチがついた
 ので中村市まで進むことにした。

 ここで1つ言っておきたいのは。。。。おばさんを非難してるのではない。
 よく旅先で暖かい人に出会った。親切にしてもらった。なんて話はよくある。しかし勘違いしては
 ならない。「暖かい人」ってのは大抵、向こうから暖かくしようとするアクションがあるのだ。
 で、こっちも大抵怖そうな人とか危なそうな人とかには声かけないだろ?なんとなくやしそうな人
 に声をかける。
 つまり旅先で出会って見知らぬ人と話をする場合、むこうからアクションが来るか、またはこちらか
 らアクションをかける場合はすでにフィルターをかけてることになるんだ。自分で篩(ふる)いにか
 けているわけだ。だから10人声かければ6,7人は「暖かい」人であったりするわけで暖かくされ
 たことは印象にも残る。だから旅先では普段の日常の「いい奴(好きな奴)、嫌いな奴」ごちゃまぜ
 の集合の中で生きているよりもフィルターを通しての触れ合いになるから結構旅先で出会った人を
 「みんないい人だった」と思ってしまうのだ。
 DがMMEに向かう途中、バッテリーが上がってGSからブースターケーブルを借りれたものの駐車
 中の車から散々断られて苦労したって話もそうだ。切羽詰ってフィルター(条件)を甘く(緩く)し
 てたくさんの人に声かけても「なんだおまえ?」で終わってしまう。人はそれぞれだってことだ。

 実際、MMのオフ会でもそうだろう?
 みんなMMを見て楽しんでる共通意識がある人間同士が実際会うんだからさ。満員電車の中の集合体
 とは全然違う。みんな「いい人だった」との印象で終わる。(たぶん(^^;)

 ツーリングでもキャンプ場であったライダーとはまぁ普通仲良く火でも囲めるじゃん。バイクでテン
 ト張りながら旅してるという一定のフィルター(条件)をパスしているから話も通じ易い。心まで通
 じやすいとは安易に言えないけどね。
 結構キツイ話だけどそれが人間社会の現実だ。

 だからコンビニの話に戻るけど別にこの店員が「変な人」ってことではないのだ。ただ単に「ハズレ」
 ってだけなんだな。俺(旅人)にとってはね。



 さて中村市を目前に(真っ暗な)海岸線を走っているとここかしこに民宿を見かけるようになった。
 ふむふむ、おNewのテントやエアマットも使いたいが久しぶりに民宿ってのもいいな。なんて思って
 1軒の民宿を訪ね、玄関を開けてびっくり。そこには畳1畳ぐらいの広さにすきまなく運動靴がびっ
 しりと散乱していた。なにこれ?と思って手をかけてる玄関の扉の張り紙に気がついた。

 「○○高校テニス部御一行様」
 ありゃー・・・合宿かい・・・・

 2軒目
 「○○高校陸上部御一行様」
  ・・・・・・・・・・
 3軒目
 「ようこそ!○○高校カッター部御一行様!」

 あ!・・・・そう言えば高知市内の国道で「みんなで成功させよう第○回高校国体」なんてノボリが
 いっぱい立っていたなぁ・・・こんなところで合宿?宿泊してんの?うげぇ・・・・・

 しかたなく中村市まで向かう。途中、海岸線の公園でいかにも野営できそうな場所もあったのだが、
 いかんせん「暗すぎる!」のだ。田舎の国道、月明かりだけで真っ暗な公園らしき場所にマグライト
 1個で散策に入り、ごそごそやる気力も失せてきた。だってもう500kmほど走った。疲れてる。
 だいたい野営するなら明るいうちになんとか場所の目星はつけておくのがベターなんだ。そう言いつ
 ついつも切羽詰って駐車場やら小学校の運動場の隅とかに野営する自分に笑ってしまう。

 だって18時にテント張って何するん?(笑)
 23時まで走って寝るところあればそれがベストじゃん! ってね。

 しかし今回はそろそろリミットの23時。
 いいかげんもー走るのはいい、風呂入って寝る!どっかに泊めてモード全開になってきた(^^;

 中村市到着。

 おぉー!街じゃん、街じゃん!ビルいっぱいあるじゃん!市内に入ってすぐに見つけたホテルに入ろ
 うとして・・・その扉に愕然とする。。

 「ご歓迎!○○高校○○部御一行様」
 「ご歓迎!□□高校△△部御一行様」
 「ご歓迎!××高校○△部御一行様」

 民宿の比じゃない(^^;3校も来てる(^^;
 でも・・・とにかく聞くだけ聞こうとロビーに行くが案の定空き部屋はナシ。ただでは転ばないぞと、
 近隣のホテル情報などを書いたチラシをゲット。従業員から「ここら辺にホテルが多いよ」と道順も
 仕入れてホテル巡りが始まった。もうそろそろ0時になる(^^;へたしたらロビーにも人がいなくなり、
 それこそ真剣に困った時の最後の手段で駅か学校で野営ポイントを探すしかない。。。いやじゃぁー
 、それはもう避けたぃぃ(←ならもっと計画的に走れって!(^^;)

 しかしどのホテルの玄関にも「○○高校御一行様」ばかり。
 それでも一筋の望みをかけて「一部屋ぐらいは・・」と思って1軒1軒潰して行くつもりで3軒目だ
 っただろうか?
 
 「空いてますか?」と恐る恐る・・・
 「え?い、いやぁ・・・・」と台帳をめくり始めた。その時点で今までのホテルと反応が違う。今ま
 でのホテルは「ありませんねぇ」の即答だったのだ。でもこのホテルは「台帳をめくる」というアク
 ションが入っている。それだけで凄く期待度アップ。はらはらどきどきして待つこと30秒?ついに
 その従業員(じいさん)は口を開いた。

 「空いてますけど・・・・」
 やった!(^^)/
 「あ、空いてますか!、お願いしていいですか!(^^)」
 するとじいさんは
 「え、・・えぇ、・・・でもこの部屋は冷房がね、」と言いかけたところで
 「全然かまいません、冷房いりませんから」
 「いや、冷房は効くんだけど風量を最大にすると故障していて音がうるさいんですよ、だからお客さ
  んが来てもこの部屋は案内してないんですよねぇ」
 「いやいや全然かまいません!もうこの時間で国体で泊まれるだけでもありがたいですから」と腰を
 低く最大いい子ぶってお頼みする。
 「はぁ、そうですねー、どこもいっぱいですからねぇ、じゃぁいいですよ。1泊ですね?」
  やりぃ(^^)/

 てな事で0時前10分ぐらいにようやく寝る場所確保(^^;

 しかーし・・・・
 ロビーでのイベントはもう少しある。

 「じゃぁ、ここに・・」と宿泊カードを勧められて記入していてふと思った。。。あ、・・・値段・・
 もしかして足元見られてふっかけられるかなぁ・・・・と思って恐る恐る尋ねた。。。
 「あの・・・金額は?・・・・・」上目使いでかわいく聞く。(←重要(^^;)
 「あー・・・うん・・・・そうねー・・・・・」と考え込むじいさん。。ややしてじいさんの頭の中で
 料金が決まったようだ。まさしく「時価」だ(^^;
 「そうねぇ・・・冷房がアレだから・・・4000円ってところでどうでしょう?」

 オーマイガッ!  やっすー! (^◇^)/(^◇^)/(^◇^)/

 全然問題なく「感謝」しながら4000円を払う。しかも税込み。広島在住の安ホテルと同じだぜ(笑)
 ところがじいさんが鍵をだし、ロビーのカウンターごしに今まさに私に鍵を渡そうとし、それを受け取
 る私の右手の指先が鍵まであと15cmとなったその瞬間。。。。。
 
 ほっと一安心したせいか、いきなりFのシックスセンスがピーーーーン!と警告音を発して右手に信号
 を送り右手を微妙に引っ込ませた。結果15cmだった鍵との距離が20cmに開いてしまう。

 私は聞く。これだけは聞いておかなければ・・・聞いても真実はわからない。でも「聞いておかなけれ
 ば・・・・」と勇気を出して聞いた。真剣な顔で。

 「あの・・・・まさかこの部屋『幽霊』とかでませんよね?」  と。

 じいさんは笑いながら「いやいやそんなことはないですよ(^^)」と即答した。その瞬間に私も笑顔に戻
 り右手にしっかり鍵を受け取っていた。そして変な質問をした非礼の言い訳として、
 「いやー、よくあるじゃないですか、1部屋使ってない部屋はどうとか。とか、ははは」そう言いつつ
 も私の中の「ひっかかり」は無くなったわけではない。この高知県全体が満室であり稼ぎ時の状況で、
 例えば21時ごろとか22時ごろにも「部屋空いてないですか?」との問い合わせの1件ぐらいあって
 もよいのではないだろうか?それを全て断り続け、最終的に0時前に駆け込んできた「困ってる風」の
 県外の「どうでもいいような」流れ者・・・・今夜最後のお客さん・・・・この客なら・・と禁断の部
 屋を貸すかも知れない・・・

 しかも幽霊話がほんとにあっても「そうなんですよ」なんて言う訳が無い(^^; ホテル側が。


 しかーし!もういい!
 とにかく風呂入ってすぐ寝たわ!9時まで寝たわ!(笑)しかもぐっすりとね!(爆)



 翌朝。
 じいさんに深々と頭を下げて出発。天気快晴。F号満タン。

 四十万川沿いの441号は爽快だった。お日様の下では野営ポイントもいっぱい見つかった。今度来る
 ときはここで野営だね。四国ならではの酷道も体験した。
 379号線までの道のりは遠く、やっぱ行きがけに狩っておけばよかったなぁと後悔しつつも完全制覇
 を成し遂げて船に乗った。

 四国陥落。さらば四国。
 1泊2日だったがスタートは福岡で東京からの帰りである。その距離約2000km。

 やっぱロンツーはいい。やっぱバイクはいい。



 その夜、私とF号は空満天の花火に包まれた。


/=== 95'M900BlackFerrariDESMO DUE 2002.11.16 30030km & LEGACY B4(BE5C) 8000km ===/