【序】今再び
□コメント
□本文
【二輪魂】特別編:日本縦断「21年前の忘れもの」
[目次]
序 :今再び
1 :7月22日 野営、謎の発光体に硬直
2 :7月23日 鷹巣国民宿舎、夕陽とのタイムレース
3−1:7月24日 (1)にせりんどう
3−2: (2)短い夜
4 :7月25日 鬼門、秋田へ
5 :7月26日 青函フェリーと雷と停電の夜
6 :7月27日 石狩海岸無料ライダーハウス
7 :7月28日 想い出のキリキリ
8−1:7月29日 (1)最・北・端
8−2: (2)450号線
9 :7月30日 GPSナビを信じよう
10 :7月31日 ラストスパート500km
11 :8月01日 ミッドナイトエクスプレス 舞鶴〜野営、深夜2時。
12 :8月02日 民宿「翁」
13 :8月03日 21年前の忘れもの
[付録]
0.リアルレポの時系列編集
1.ロンツー装備(画像レポート)
2.GPS情報通知時の裏話
3.無くした(落とした)もの一覧
4.後記
[特別付録]
世界初、日本縦断4700kmを5分間隔の画像で疑似体験!
車載デジカメによるインターバル撮影画像を全公開!
2004年 秋 公開!(予定)(一部誇張してます)
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【序】今再び
今再び・・・・『下道』日本縦断。
そう、『下道』ってところが重要なんだ。
21年前、21歳、大学4回生、テレビからPL学園の優勝の校歌が流れる中、内定の電話をも
らったその2日後に下道で最北端を目指した。
私の原点はそれ以前の原付での2万kmである。原付だから「高速道路」とか物理的に利用できな
いから下道で走りまくった。400ccに乗ってからも私は「高速道路」なんてものは金持ちか非常時
(親が危篤とかそんな時に)に利用するものと思っていた。だから何も迷わず下道を走り続けた。
21年前の縦断は11泊か12泊か忘れたが4000kmは走っただろう。それが「普通」と思ってい
たのだが旅の先々で出会うライダーと話しているとどうも私のしてることは凄いことらしかった。
それから十数年かけて結局下道だけで日本を制覇した。(沖縄は除く)
それが『ツーリング』だと思っていた。
900ccのバイクに乗り、高速道路は(金さえあれば)目的地に急ぐ時や時間節約のために普通に
利用するものだと知った。しかし今でも「それ(高速を利用したツー)って面白くないだろ?そ
れはツーリングじゃないだろ?」と思っている。「単なる移動じゃん」と。
いつのころからか自分でもわからない。けれど「たどり着くことの快感(苦痛?)」なくして
たどり着いた時の喜びや満足感は無いだろ?そんな思いが体に染み込んでいた。
「ツーリング」って言う定義がどうも人と違うらしい。
いい例えが浮かんだ。この気持ちはトランプでピラミッドを作る遊びに例えることができる。
薄いペラペラのトランプを左右の手に1枚づつ持ってお互いが支えあうように三角形を作る。
その隣にもう1つ三角形、その2つの三角形の頂点に水平にトランプをそっと置き、以下単純作
業の繰り返しで高く大きなトランプのピラミッドを作る暇つぶし的遊びだ。
慎重に、1つ1つ、息を止めて、より大きく、より高く。
この遊びは完成形を手に入れることよりも「完成させる過程」を楽しむ遊びだと思う。
特殊な能力は何もいらない。ただコツコツと慎重に。ただ黙々と1つ1つ。それが面白い。段々
と高くなっていくピラミッドを眺めるのも面白い。
出来たときの喜びは最初の三角形を作った時から少しづつ蓄積された「苦労」や「息苦しさ」が
爆発するような気持ちではないだろうか?
瞬間接着剤を使いながらピラミッドを作る方法もあるだろう。早いし確実だ。けれどそれが私の
思う「高速道路」なんだ。過程が安全で易しければ完成形に魅力なんて何もない。
苦労や憤りがあったからこそ、できた瞬間に「終わった」「出来た」と言う満足感に浸る。浸れ
る。それは実に人間らしい感情(美徳)ではないだろうか?
下道は苦労も多く危険も多い、けどやってやれないことはない。頑張れば誰でも手にすることが
できる。そう、「俺でもできる!」。 下道の魅力はそれにつきる。
私のような「人並みのことは何もできない」と思ってる下等で卑屈な人間にとっては下道は麻薬
なのだ。己の存在を証明するための。
※
私はバイクに乗ってるとき、大学時代に女友達と話した短い会話をよく思い出す。
彼女は賢く、バスケ部に所属しスポーツもでき、背も高く色黒でキリっとした顔立ちはある種
お高いイメージもあり近寄りがたい雰囲気もあったが何故か私とは1つの灰皿の上でタバコの煙
を交差させるような仲だった。(恋愛感情はお互いに全くない(笑))
「俺、バイクだけが人並みにできることなんよ」
「え?そう?」
「うん、なーんも人より優れてるどころか人並みにできることなんて1つもないと思ってる」
「・・・・」
「バイクに乗ってる時だけやっと「人並み」と思ってるんだ」
「ふ〜ん・・」
たったコレだけの会話である。彼女の「え?そう?(そんなことはないでしょ?)」はかなり嬉
しいフォローの言葉だったが「バイクに乗ってる時だけやっと人並み」は本心である。
それから21年経った。
今言い直すなら「バイクだけはちょっとだけ人並み以上の自信あるかな」と言える。
それは下道で鍛えられたからだと思う。
地道に刻んだオドメーター、トランプのピラミッドに例えるならトランプ1箱で満足せず、3箱
か4箱分のトランプでピラミッドを作った実績(走った実績)が自信となってる。
下道だからこそドラマがあり、下道だからこそ、その苦労が面白い。
今回の縦断ツーリング。
一瞬、北海道に1日でも早く到達できないか?とフェリー直行も考えた。
その理由は私に書く場を与えてくれて、かつここまで野放しにしてくれた奇特なサイト管理人の
ライダーと北海道をいっしょに走ってみたかったからだ。しかしどう急いでもすれ違いになるよ
うなので下道を選択することになった。日程が合えば下道縦断はしてなかったかも知れない。
けれどそれも時の歯車。
「やっぱ下道か・・・」それが私の決意だった。
不安ながらも心の奥底でニヤリと笑う自分がいた。
21年前の「失敗」、そして「忘れ物」を取り戻したい。
そして4700kmに及ぶ長い旅に出た。
私のトランプのピラミッドはまだまだ高く、大きく、今も建設中なのである。
他人からして見ればたとえそれが吹けば飛ぶようなピラミッドであっても。
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7月22日 野営、謎の発光体に硬直 へ続く。(次回掲載未定)