【1日目】7月22日 野営、謎の発光体に硬直(1)
【1日目】7月22日 野営、謎の発光体に硬直(2)
とりあえず着替えたい。重い装備を脱ぎたい。ヘッ電(へっでん=ヘッドランプのこと、登山用
語(らしい):小型の電灯にゴムの紐が付いてて頭に固定することができる野営アイテム、500円
〜4000円程度各種、キャンプ用品売り場や釣り具店などで購入可)をフロントサイドバックから
取りだして装着し、その明かりを元にいそいそとマンダリーナバックから着替えやスリッパなど
を引っ張り出す。ここで野営ノウハウと言うかパッキング(収納、積載術)について1つ言って
おこう。
野営ってのはかなり暗い場所で行う。明るい街灯の下で野営することはあまりない。何故か裏手
や奥まったところでひっそり行うのが野営である。得てしてそんなところは明るくない。万が一
携帯電話をコロンと落としたら懐中電灯の類がないとまず発見できない。
よってそんな場所で野営するには「まず明かり(灯火器)」であり、その灯火器がバックの奥底
にあったり、バックの中のポーチの中に収納してあったりすると灯火器を(暗いから)見つける
ことができないであたふたしてしまう。だから灯火器はいつでも一番最初に1アクションで取り
出せるところにパッキングしておくことがノウハウです。
私の場合は13日間、ずっと「フロントサイドバックの右側の手前」がヘッ電のポジション。
日によってポジションを変えることもいけません。マグライトはいつもリアバック中央、そして
緊急用に長さ4cmほどの小さいLEDライトをウエストバックのチャックにぶら下げてる。
【余談】小型LEDライトについて。これ、バイクを離れている時(ヘッ電をしてない時)に明かり
が欲しい時や、夜の国道でちょっと地図を見るときに重宝するのですが・・・光源のブルー(青色
LED)はNGです。理由は地図を見た場合に地図には意外と「青い文字」が使用されており、LEDが
青だと同色現象?で全く字を判別できません。カメレオンみたいな?。
特に国道表記は青色なことが多く、「この線は何号線じゃぁ!!」と地図で見えてても数字を読め
ないことが数回あり、海か陸地かの境目もよくわからない時もあった(海は青色なので)。
次回のツーリングでは白色LEDに変更しなきゃ、と思いました。(自然光LEDってないのかな?)
※
ヘッ電の明かりの中、無事着替えも済み、コンビニまでお買い物。ビールと缶チューハイとつま
みなどを少々買ってねぐらに戻る。噴水式水道でタオルを濡らし、上半身裸になって体中を拭く、
長ズボンも脱いで全身も拭く、はぁー、すっきり。人目が気になる?いや、ここは人目が無いか
ら全然気にならない。うん、人目はない・・・けど。。。
・・・タコの目がいっぱいあるんだ・・・ (は?)
思い出して欲しい。
「真っ暗であったもののそこはすぐに公園だとわかった。ジャングルジムみたいなもの、滑り台
みたいなもの、シーソーみたいなものが設置してあり、(以下略)」
このくだりでなんで「みたいな」と書いてるのか?暗くてよく判断できないからと思いましたか?
いや、それがちょっと違ってまして。。。。この公園の遊具、何故か知らないけどタコ!タコ!
たこ!蛸!のオンパレードなんですよ。
タコのジャングルジム、タコの滑り台、タコのシーソー、タコのライド、タコ一色!正確に言う
と「タコのジャングルジム」でなく「ジャングルジムみたいなタコ」なんだ。その「ジャングル
ジムみたいなタコ」とか高さ3mぐらいあるんだ。超巨大蛸。小さいタコはオバケのQ太郎みた
いなカンジでそこかしこに・・・・
私、タコ嫌いなんです。 食材としても見た目も、生理的に嫌いなんです。あの軟体動物は。
これはマジな話だが自分でもわからないトラウマ的症状がある。それは、
『連続した丸い物を見ると気分が悪くなる』
ってのがあるんです。例えば積み上げた土管、横から見ると穴がいっぱいあって向こう側が見え
るでしょ?あれを見てると、どよーん とした気分になってくる。マーブルチョコが机の上で散
らばってるのはOK、円の色が違っていたり、並びが不規則であればなにも感じない。丸い窓の
ビル、あれなんかダメだね。「色と大きさが均一で連続した円」を見るとダメなんだ。
そこでタコ。あの吸盤が私にとっては「連続した円」であり茹でたタコの足など見てるだけで
気分がナーバスになる。幼少のころ、顔面にタコが張り付いて死にそうになったことでもあるん
だろうか?一度親に聞いたことがあるのだが答えは聞くに及ばす・・
寝るところがなくてこの公園に着たのはいいがよりによってタコかよ・・・実はこれがこの公園
を発見した時の第一印象なんだ。暗闇にそびえる高さ3mの巨大タコ。大きな目の部分は空洞に
なっていてタコの中に入った子供が抜け出せるようになってる。足もある。左右におおきく張り
出した足は細い鉄のフレームでできており、子供がぶら下がったり、小さな子供なら足の中に入
って行き来できるほどの太さがある。それが公園の空中にうねうねと浮かんでいる。
はっきり言って恐ろしささえ感じた。
とは言っても40すぎの男ですからまさか「夜中に襲ってくる」とは思いません。ただ、この公
園の昼間に子供たちがきゃっきゃと遊んでる風景でも知ってるならいいのだが、「この公園、作
ったはいいが何年も放置されてる忘れられた公園、廃屋ならぬ廃園の類じゃないだろうか?」な
んてのが怖い。いかにも霊が住み着きそうじゃん。(霊番組は大好きだがとても怖がりの私)
そもそもこんな道の駅の「裏」に作って誰が来る?誰が遊ぶ?表からは全く見えないじゃん。
公園の周りは鬱蒼(うっそう)とした背丈ほどの雑草が生い茂ってる。
山かな?暗くてわからない。とにかくこの公園のところだけフラットな地形であるようだ。
目が慣れてくるといろいろ見えてきた。
遊具の中にはレールの上を手回しハンドルで前後に動かせる乗り物があった(当然それもタコだ
が)。そのレールの錆び具合を見れば利用者がいるのかどうか判断が可能だ。しかしヘッ電で照
らすもののレールの痛み具合はよくわからない。砂に埋もれてるような気もするしそれでも動く
ものかも知れない。。。実際に乗ってハンドルを回してみれば動くかどうかがかわかるなぁ・・
でもそこまでして調べてどうするよ?
調べて「動かない」とわかったらどうするのよ?
って言うか深夜の真っ暗な公園でヘッ電付けた大人がそんな遊具に乗ってゴロゴロと移動してい
たらそっちの方が怖いだろ?(目撃されるのも怖い(^^;)
そんな葛藤が続く暗闇のタコ公園・・・
体を拭いたタオルを洗い、干す、その間も視界に入るものと言ったらタコのオブジェしかない。
なんでタコなんかなぁ・・・
ここはタコが名産なんかなぁ・・・
タコなんてどこでも獲れるんじゃないのかなぁ・・・
あー・・・あんな奥の方にもタコがいるじゃん・・・げぇー・・(TT)
あ!ラジオ!ラジオ!ラジオがあるじゃん!
野営の時のために買ったラジオ、買いなおしたラジオ!4000円もするSONYの防災用ラジオ!
防水仕様で光源もついてる♪
ラジオを聞きながらビール飲もう♪そう思った。
新しいアイテムの出番は嬉しいものだ。
選局し、運良く天気予報も聞けた。あとは聞いたこともないDJと趣味でない音楽を聴きながら
やっとビールを飲む。つまみも食う。タバコも吸う。うーん、落ち着く落ち着く。30分ほどで
一人の宴会は終了。さぁ、寝るか・・・と、歯を磨きに5mほど離れた水飲み場へ行く、
!
その時目に入ったものが私の体を硬直させた。
スイッチ? それが最初に頭に浮かんだ単語だった。
水飲み場は右前方約2m、その反対側、左前方約5m先、ジャングルジムのタコの根元に緑色で
小さく、しかし強く発光している光源が1つある。蛍?いや、微動だにしない。しかも光に強弱
はなく、あきらかにLEDの光源のように眩しさを感じるぐらい明るい。
工場の中でよく見かける電球に赤や緑のプラスチックのカバーを被せた、あの緑色だ。
緑と言うよりエメラルドグリーンのような強い発光体。それががたった1つ輝いている。
あのタコの中になにかON/OFFするようなスイッチがあるのか?あったのか?
いや・・・このタコが電気仕掛けとは到底思えない、しかもランプの位置が低すぎる。
光源の周辺は真っ暗でよくわからない。よく見ると光源は地面に転がってるようにも見える。
あぁ、子供が忘れたおもちゃだな。スイッチが入ったまんまでLEDが光ってるんだろう。。。
え?爆弾?・・・・そんな不吉な単語も浮かぶ。
幸い「物の怪(もののけ)」の類ではない、明らかに人工の光。少し落ち着く。
しかし・・・ちょっとまて・・『いつから』光っていたんだ??
最初に光を見てここまで思いつくまでに約10秒かかった。
そう気づいてからが怖かった。
「俺はここに来てそろそろ1時間にもなる・・・さっきもこの角度は見てたはずだ・・それより
一度この公園をぐるっと廻ったじゃないか。光っていればその時気づかないはずがない。あんな
に光るものをこの暗闇で見逃すはずがない・・・・と、なると・・・俺が来たときは光ってなか
った。。。何かの弾みでスイッチが入った?・・・時限式?・・・タイマー?・・・」
そう考える最中でも私はその光から目をそらすことができない。
怖い?安全?不思議?何?正体は?危険?確かめる?確かめる?大丈夫?何が?安全?怖い?
いろんな脳波が渦巻く中、一歩だけ近寄った。ゆっくりと。
恐怖映画を思い出す。
やられキャラが恐る恐る覗き込む井戸や穴やドアの向こう、怖い化け物がいるとわかってる観客
は「ばっかー!逃げればいいのに!危ない!危ない!死ぬよ死ぬよ!」とハラハラする。
でも実際このような摩訶不思議な場面に出会うと「近寄って確認しようとする」のが人間なのね。
今書いていてそう思った。
・・・・一歩だけ近寄った。ゆっくりと。するとその光が・・・・・・・
※
朝が来た。
05:40 ベンチの横で目が覚めた。
眠い体に気合を入れて2日目がスタートした。
え?光の正体はなんだったのかって?
さぁ・・・・
「この世に不思議なことなど1つもないのだよ」(by京極堂)
とだけ言っておこう。 :-p
(11泊目の夜編で回答がわかります)
7月23日 鷹巣国民宿舎、夕陽とのタイムレース へ続く