【3日目】7月24日(1)(2)
朝7時すぎに起床
ぐっすり寝れた。
食堂は1階。
地図をもって行き、期待はずれの朝食をさっさと食べ終え今日のルートを模索する。
日本縦断なのだから北へ北へと新潟までは8号線を北上すればいいだけでは?と思われる
かも知れないが東日本に入ったからには狩れる国道は狩るつもりでいたのだ。二度と来れ
ない、と言うか二度と来なくていいように辺境の国道は狩っておきたい。そのためのルー
ト模索である。
しかも今日は能登半島の根本を通過する。能登半島の先端部分の外周をぐるっと249号
線が走っていて2001年の夏にすでに外周を走ってるわけだがそのときは国道狩りなんて
思ってもなかったので当然おにぎりの絵はなく、今回の旅で249号線を取り損なったら
また能登半島まで来ないといけない。
そうそう何度も来れる場所じゃないので249号線とその周辺の能登半島付近に属する国
道は全部狩るつもりだった。
地図を見る。宿から海岸線の305号線を北上・・・目で追っていると30km先に「東
尋坊(とうじんぼう)」って名前を見つけた。東尋坊?なんか聞いたことがある。なんか
よくわからないがなにかで有名な場所だよな?黒三丸の名勝地(または史跡、天然記念物)
マークもついてる。ふむふむ、これは寄って見よう。能登半島の根本に行くまでに1つの
目的地ができた。これが行き当たりばったりの醍醐味でもある。
そこから249号線までのルートを決め、新潟に抜けるまでに159号線、249号線、
415号線、160号線の4本狩る。これで能登半島は制覇。うん、これで今日のルー
トは完成。もちろんどこまで行けるか、どこで寝るか、なんて考えてもしょうがないので
考えない。(後日談:実は160号線(能登半島の付け根右下)を撮り忘れてた。と言う
ことは私はまたいつか富山市まで行かないとならない・・・(苦笑))
さて、ルートも決まって後払いだった金を払って宿を出た。
ツーリングには贅沢装備のバイクカバーをめくり、積載、時間にしてまぁ10分ってとこ
ろか。野営の店じまいよりは圧倒的に早い。
天気は快晴、雨の心配はナシ。今日も暑くなるんだろうか?・・・・9:27出発。
国道に出て昨夜買い物したスーパーの横を通過し東尋坊へ。
東尋坊の話はリアルレポに書いてるので割愛。
一言で言うと「なんだこれ、二度と来ない」でした。全然騒ぐほどの景色ではありません
でした。
あぁ、そうそう、リアルレポに書いてない小話が1つ。
東尋坊に着いたのが9:57分。朝まだ早いのか駐車場はガラーンとしていたんだがツー
リング中と思われるバイクと若いライダーの先客がぽつんといるのを発見してその横2m
に止めた。YAMAHAのディバージョンかな?、大型クラスのバイクで積載状態を見ればロンツ
ー中だとすぐにわかった。ライダーは木陰で腰を下ろし地図を見ている。
で、普通近寄って止まったら会釈ぐらいするのが旅のライダーの挨拶とは思うのだがそい
つは「ちら見」しただけで終わり。別に挨拶してもらいたい訳じゃないがよくもまぁ無視
できるものだ、あんたの旅、何が楽しいん?そんなことを思った。
東尋坊の崖から帰るとそのバイクはもういなかった。
別にどうでもいいことだけど今の若いライダーは生活環境も変わり、部屋に籠もっていて
もネットで会話し、歩きながらでもmailを読み書きする。ほんとの「孤独」と言うものを
知らないんだと思う。だから現実世界で「人恋しい」なんて思わないから平気で人間を無
視できるのではないだろうか?
なーんて深く考えるのは勝手だが真実は「なんだこのバイク(槍号)、うるせぇ〜、この
広い駐車場でなんで隣に来るんだよ!」と思っていただけだったのかも知れません。
※
東尋坊、ここに居ては脱水症状になりかねない、10:15分、脱出。
305号線に復帰するまでに少々迷ったものの方位磁石とカンを頼りに無事本線に復帰。北
上を続け、11時半過ぎに金沢市(能登半島左下)を抜けたところでそろそろお目当ての
国道が接近。猛暑の中、ない!ない!ない!ファミレスがない!と焦りつつもありがたい
ことになじみのファミレスを発見。注文もそこそこにドリンクバーでジュース3杯を一気
飲みしてランチ、食ったあとはアイスコーヒー2杯を飲みながらサクサク繋がるAirH"のお
かげで鷹巣荘の夜や東尋坊のことなどを原稿に書き、アップロードして出発。滞在時間は
11:52〜14:31、あー、長い、2時間半も滞在してたのね、だって暑くて出たく
ないんだもん・・その後159号、能登半島入り口で249号、そこから半島の根本を東
西に横切る415号線を抜け「氷見市」に向かう。
「氷見市(ひみし)」、そのまま読んで「氷が見える」と読め、涼しいのか?と期待した
がもう熱波に猛暑に酷暑の波状攻撃。ファミレスを出て1時間程度しか経ってないのに体
力を激しく消耗。「どこに氷があるねん!」と毒ついていたのを覚えてる。
(続く)
【3日目】その(1)の(2)
氷見から富山市に入り、いよいよ新潟までの1本道、国道8号線に乗る。
富山−新潟までは240kmもある。富山市に入ったのが16時ごろであり、平均40km
としてもあと 6時間、22時着か・・・途中でメシ食ったらまた深夜になるかも・・
新潟までは行けないかな?なんて思いがよぎる。
しかしこの8号線、時速140kmの超高速国道。アウトバーンかよ!なんでみんなそんなに
速いの?と小首を傾げながら車の流れに合わせて高速巡航。17時ごろ、ケンタッキーで
休憩した。1回の航続時間が短いのが自分でもわかる。20年前は・・・(略)
ケンタではなんかそんなにたらふく食うつもりはなかったので軽めにワンピースとビスケ
ット付きを頼んだら「おもちゃはどれにいたします?」と聞いてきた。へ?あらー、お子
様セットだったのね(^^;でもおもちゃの中にペットボトルを入れる簡易アイスクラーがあ
ったのでそれをゲット、かわいいキャラクタの絵がついていたのでこれを今回の旅の女房
へのおみやげに決定。安上がりぃ〜(笑)
(ほんとのお土産は「無事無傷で帰ること」だけでいいのだ)
ケンタッキーで1時間ほど休んだあと、そろそろ陽も傾き走りやすくなった。しかし高速
国道は一変。一車線になった8号線で延々と大型トラックを抜けないでヒィヒィ走っいる
と目の前に見慣れぬ三輪車が走っていた。
いわゆる「トライク(三輪バイク)」なのだがどーも小さい。小さいけどそれこそツー
リングであることを疑う余地もないほど荷物を満載している。ナンバーに緑の縁はない。
あれ?トライクってバイクじゃないから全部白ナンバーだっけ?とか思いつつ遅いのであ
っさりパスした。抜きざまにそのバイクが「HONNDAのマグナ」だと判別。
へぇー、250ccのトライクかよ、マグナのトライクか、特注だな。へぇー・・・・
それから30分後、ヘッドライトが必要になるころ、能生(のう)道の駅(富山市から約
100km)で休憩しているとそのトライクがやってきた。
不人気の道の駅なのか、時刻が19時半にもなっているからなのか、人気(ひとけ)のな
い駐車場で唯一止まってる俺の横にやって来た。
うん、普通そうなんだ、旅のライダーは何故か先客の「隣」にやって来るもんなんだ。
トライクのライダーは50を越えてるように見えた。
「こんちわ」私から声をかけると「あ、こんにちは」と笑顔が返ってきた。
うん、普通そうなんだ、旅のライダーは何故か自然に笑顔で挨拶するもんなんだ。
トライクをしげしげと見ながら尋ねた。
「うーん、珍しいですね、特注でしょ?200万ってところですか?」
「あー、いえ100万ちょっとだったかな、本体(マグナ)は別で」
「へぇー、そんなもんで出来るんですかぁ、マグナ専用で売ってるんですか?」
「いや、売ってはないですけど言った通りに作ってくれるんですよ」
「へぇー」
(ドカ用のトライクも作ってくれるかな?ジジイになったらそれもいいなぁ・・・スイン
グアームの所の加工が無理だろうなぁ・・)
なんてまた俺の狂った脳がよからぬ事を考える。
どこから来たのか?今日はどこまで行くのか?そんな会話を30分ほどしていただろうか、
じいさんは毎年毎年ホンダのGOLDWING(水平対向6気筒だっけ?)で北海道に
ツーリングに出かけていたそうな。しかし歳も歳になり周りが「もう危ないから」とうる
さくなり、そこでこの3輪トライクに乗り換え、家族も「これなら安心」と思ってくれた
ので今年も北海道に行くことを許されたらしい。
ほぉ・・・そんな選択肢もあるのか・・毎年毎年北海道、トライクに乗ってでも北海道。
継続は力なり。。。。うーん、いい話だ。
バイクと北海道の虜(とりこ)になったおじいさん。
20年前の俺なら目をキラキラさせながらさぞ感心して憧れの表情を露(あら)わにしな
がらおじいさんの話に聞き入ったことだろう。
しかし20年の経験はやっぱ知らず知らずに俺を大人にしていた。
たしかにこのじいさんは凄いや、とは思う。でも「憧れるか?」と言えばそうでもない。
そんな選択肢もあるね。じいさん幸せだね、俺はなんか別のことしてると思いたいね。
そんな印象だった。
トライクは先に出発した、どうも下道北上は諦めて直江津まであと約30km走ってそこ
で野営し、次の日に室蘭までのフェリーに乗るとのこと。私はじいさんのことを思いなが
らゆっくりと煙草を吸ってもう少しその場に留まった。
250ccのトコトコツーリングには昔から憧れがあった。三輪トライクを視野に入れれば二輪
ライフ(三輪だけど)はまた幅が広がるのか・・・しかし俺がもっと老いた時、国道を全部
狩った時、その時にそこまでして乗る理由が俺に残ってるだろうか?
誰もいない駐車場に乾式クラッチの音が鳴り響く。
10分後にトライクを抜き去り、クラクションを鳴りかわしてミニイベントが終了した。
※しかし3日目の本当のイベントはこれからだとはお釈迦様しか知らなかった。
20時、今日は野宿と決めていた。
場所は「寺泊(てらどまり)」港の半径50km以内。それは何故か?
『誰にも言ってなかった重大発表』
(続く)
【3日目】その(1)の(3)
『誰にも言ってなかった重大発表』
それは私、実は今回日本縦断の「ついでに」、佐渡島に行って佐渡島にしかない国道
350号線を狩るつもりだったのよ!
って、これは実は昨晩の鷹巣荘の夜に決意したんだけどね。
でも出発前からその思いはあったのよ。
行きてぇー、350号線狩りてぇー、と。だからこそ予定より1日でも早く出発して
会社で公に許されてる期間内に戻ろうと思ってた。
佐渡島に渡るには3つのルートがある。
1.上越市の直江津港から2時間半フェリーで北北東に進み、佐渡島の南西(小木港)
に渡るルート。
2.寺泊港から2時間フェリーに乗り小木港から東15kmの赤泊港に渡るルート。
(本州-佐渡島最短最安ルート)
3.本州から見て一旦佐渡島を通り越し、新潟港からフェリーで北西に進み島の東中央、
両津港に渡るルート。
地図で書くとこんなカンジ □マークは海上■は本州
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■
□□□□□□佐渡島(両津)□□□□□□□■■■■
□□□□(小木)(赤泊)□□□□□□□■■■■■■
□□□□□□□□□□□□□□□新潟港■■■■■
□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■
□□□□□□□寺泊港■■■■■■■■■■■■■
□□直江津港■■■■■■■■■■■■■■■■■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
1のルートが一番楽である。
直江津から新潟港までは陸路で120kmあるわけだが、その分を島の陸路350号線を
1時間(約50km)ほど走り両津から新潟までまたフェリーに乗る。フェリーに乗って
る時間は休めるし、佐渡島で1泊もしてもいい。安心して野宿できる場所もありそうだ。
しかしいわゆる日本縦断にしてみれば70kmのショートカット。
全長2500kmのうちの70kmなど誤差の範囲かも知れないが・・・
それでも許せない。自分的にL的に。
下道を「きれめなく」縦断する。地べたを這いずり回って最北端到達。その目的がある以
上、どうしてもショートカットは「ずる」した気がする。
海を使ってショートカットするならフェリーの距離が10kmでも1000kmも同じ。
楽(らく)したいんなら博多ー新潟のフェリーに最初から乗ればいい。
(だからあの昨日の有料道路は「信じたくなかった」んだ。まぁ「下道」には代わり
ないから自分の中で許しましたけど)
ルート3は地図的に経度的に「引き返す」ことになり気分的に却下。
そんなわけで佐渡島に渡るとしてもルート2で渡り、本州に戻るときもルート2で帰っ
て来るつもりだった。それなら出発地点と帰着地点が同じなので1cmのショートカット
にもならないしむしろ「縦断+佐渡島」の前人未踏の記録も作れる(笑)
だからなるべくルート2のスタート&ゴールである寺泊港に近いところで寝て朝一番、
7時の船で渡り、350号線を狩り、15時のフェリーで戻ってくる予定だった。
※
トライクじいさんと別れて60km、寺泊港まで50kmの中間地点、「風の丘米山」
道の駅着。時刻は21時。風力発電のでかいプロペラに惹かれて寄ってみた。
東日本に入ってから何度か見かけるようになった風力発電。
一度は間近でみたいもんだ。E-1で撮ってみたい。そんな思いもあった。
国道から離れかなりな坂道を登るとホテルらしき建物がありその裏が道の駅だった。
ホテルの駐車場兼道の駅の駐車場になってる広いスペースにバイクを止めると前方20m、
見上げるほどの巨大扇風機(風を起こす訳ではないのだが)が怪しいグリーンのスポット
ライトでライトアップされている。
おおー、でか!
ガンダムぐらいあるよな、ガンダム見たらこんなカンジだろうな、と頭の悪そうな発想
がよぎる。これが風力発電を見た42歳男の第一印象(笑)。
やや興奮しながらもE-1を取り出し撮影に入る。
しかし暗闇に動く高速の白いプロペラ、光源は怪しい緑のライトアップのみ。
うひゃー、む、むずい!
何枚か撮ってプレビューするが全然うまく撮れない。
まずAF(オートフォーカス(自動ピント合わせ))が悩んで悩んでピントが合わない。
次に露出があわないもんだから「撮れませんよ」の意味でシャッターが切れない。
うー!このシチュエーションでのマニュアル撮影とか経験もないし練習もしてねぇー!
焦るな、焦るな、理屈ではわかってる。
えっと・・まずシャッター速度を遅くして絞りをめいっぱい開放かぁ?・・パシャ。
あらー、シャッター速度遅すぎてプロペラが(流れて)写ってねぇじゃん。ってことは
もう少しシャッター速度を早くして・・このぐらいかぁ?・・・・
と、ファインダーを覗くとなぜか真っ暗。
あら?なに?電池切れ?え?・・・ファインダーから目を離してあっと驚き。
暗闇の中でただブオンブオンと風を切る音だけがする。
なんとライトアップのタイムオーバーらしい。21時まで?だったようだ。
げぇー!なに?24時間照らしてないんかい!・・・・沈没。
挿し絵;結局これがタイムアップぎりぎりの夜の扇風機
(http://www.koa.jp/ducati/Ferrari/Nippon4700km/sasie-07242101-kazaguruma.jpg)
(続く)
【3日目】その(1)の(4)
ため息をしてE-1を片づけ、ここは野宿できるかな?と物色を始めた。
小さな建物があり、中に明かりがともってる。
250ccのオフロードバイクがその前に止まってる。
汚れたそのバイクを見てふと10万kmライダーを思い出した。
(二輪魂第十四輪 10万kmの先 参照)
あ・・・ツーリングバイクだ。
何も考えずおもむろにその小屋みたいな建物に入った。
『にせりんどう』本編スタート
立て付けの良くないガラスの引き戸をガラガラを開けて入る。中は思った通りさほど広
くない。ビーチサイドでよく見かけるオレンジのプラスチックの丸テーブルが2卓とパ
イプ椅子がそれぞれ4脚づつ、それが打ちっ放しのようなコンクリートの上にある。
その奥には高さ50cmほどの段差があり6畳ほどの畳の部屋がある、畳の部屋?・・・
その和室には折り畳みの背の低い長机が1つと汚なそうな座布団がいくつか。
壁には大きな窓があり、覗けばあのプロペラが見えそうだ。
コンクリートとその和室?には何もしきりがなく、例えるなら壁に囲まれたミニミニ海
の家。みたいな変なつくり。
和室の隣はトイレのような物置のようなドアが1つ。
(そのドアが何なのか開けもしなかったらわからず終い)
部屋の中の電灯がこれまたしょぼい。
裸の蛍光灯(長い奴ね)で明るいものの雰囲気はおんぼろ小屋ってカンジ。
先客(登場人物)は4人
・にせりんどう:
20代男性、Tシャツに褐色の肌のやさ男風(褐色で「やさ男」ってのも変な
表現だが)。和室の壁にもたれかかり座布団2枚敷いて座っている。
オフロードバイクのライダーであることは一目瞭然。俺と目が合い、軽く会釈
を交わす、(雰囲気がりんどうに似てるなぁ)それが第一印象。
・酔っぱらい:
にせりんどうと長机を挟んで座っている。赤ら顔の漁師風50代の男。
長机の上に一升瓶がある、そのおっさんの持ち物であることは間違いない。
・怪しい夫婦?:
50前の男女。コンクリの上のパイプ椅子に座っていて丸テーブルの上には食
い物が散乱している。見た目は不良中年夫婦ってカンジである。
ふむ・・・・
よし!じっちゃんの名にかけて!と言いたくなるような面々だ。
空いてる丸テーブルに腰をかけ、とりあえず地図を開いた。
こちらから声をかけることはなんとなくあまりする気がおこらず、まぁ、こんな時は
「どこから?」と聞かれるのでその質問が来るだろうと成り行きに身を任せる。
すると案の定「どこから?」聞かれた。聞いてきたのは酔っぱらいだった。
はい、石川からです
「はー!そんな遠くから?今日は?」
えぇ、そろそろ寝る場所探そうかと・・寺泊あたりで・・佐渡島行きたいので。
なんやかんや言葉を交わすしてるうちに4人+1人で会話の輪ができる。
不良夫婦の夫は私のバイクをわざわざ見に行き、「福岡から!」と驚きをあらわに戻っ
てきて質問してきた。高速を使わずに縦断中のことも話題になる。
不良夫婦の夫:「1日何キロぐらい走ってるの?」
そうですね・・400か450かそのくらいですかね、
「400も!」
おどろく不良夫婦の夫。(ま、普通はその反応が来る)
しかしココで「400も!」と驚いた言葉に間髪いれずに聞き耳を立てていた偽りんど
うが放った言葉にカチンと来た。
偽りんどう『甘い!500は走らないと!』
・・・・・・・・・・・
(あ?なんだコイツ?・・・・甘い?・・・下道500も経験済みなんだが・・・
って言うか人の走行距離にいちゃもんつけるとは変な奴だな・・・てめぇの若さなら
500は行けるだろうね・・) 怒り度+1
でもそこは大人の対応。
「あは、500はね、きついよ(^^;」 と流す俺。
佐渡島に渡る話になる。
もう詳細は覚えてはないが私が日帰りで佐渡しかない国道の写真を撮って日帰りする
ことを話した。
偽りんどう『日帰りぃ!もったいなーい!』 (俺の怒り度+1(計2point))
偽りんどうは自分が行ったことがあるので意気揚々と佐渡のおもしろ情報を話だした。
どうも関西出身のようでそれなりに走行距離経験「だけ」はあるようだ。
(続く)
【3日目】その(1)の(5)
「佐渡に行ったら絶対○○まで行きたくなりますよ!」
(「行きたくなりますよ」と言われて「ええ?なんで?」と言葉のキャッチボールが
必要なノリなので無視するのも悪いのでどうでもいいけど返した)
「え?なんで?」
「なんでって、国道の道端に「○○の秘密は!」とか「君は○○を見たか?」とか
「○○の真実!」とか、もう「行かずにおれない」看板がいっぱいあってその気持ち
になってくるんですよ」
「へぇー」
(特に興味ないし自分で行くからそんな看板の話も聞きたくないんだけど・・・)
「絶対真実を知りたくなりますよ」
(いい加減ウザイ、私は今夜寝るところを地図見てゆっくり検討したいのだが・・)
「ふーん、ま、いいよ、行かなくても何があるかネットで調べるから」
と、興味なさそうに返した。
ネットで調べるなどこれは大嘘なんだが「見て来た、見て来た」と騒いでるウザイ奴
には「ネットで調べる」なんて最大の屈辱だろうと皮肉の意味で返した。彼は皮肉の
意味はわかってなかったようだが調べられては自慢できないと思ったのか、
「ま、行ったら○○って沼があるだけなんですけどねー」
「ふーん・・」
(バカかコイツ!ネタバレかよ!こいつが何万km走っているかしらないが全然「旅」
ってものをわかってない、自慢系か?自慢系か?カーっ、こりゃたまらんな・・・)
怒り度+2(計4point)
北海道に渡る話になった。
どこの会社のフェリーはどうだとか、どこの道の駅はどうだとか、酔っぱらいと偽りん
どうの間で会話が弾む、ふむ、どうもこの2人は相当日本を回ってるのは確かなようだ。
私が青森からフェリーに乗る話になった。
私「下北半島の先からのルートも考えたけど青森から100kmありますからねぇ、」
にせりんどう「えー!下北半島走らないの?もったいなーい」
ピキ!(--
俺、ちょっと顔ひきつって「うん、でももう下北半島はぐるっと回ったことあるし(^^;」
(うっせーんだよ!このバカ!俺を誰だと思ってやがる!
こっちらもう20年以上乗ってんだよ!てめぇが40過ぎてセパハンで日本縦断するん
かよ!してからもの言えって!だいたい人のツールートとかほっとけっつーの!)
とクチに出して言うはずはない。 怒り度+3(計7point)
「泥かきして行かんね?」
唐突に酔っぱらいが言う。
「泥かき」の言葉でピンときた。福井の豪雨で遠方からボランティアの人々が災害地の
泥をかき、復旧の手伝いをしてる話はニュースで知っていた。でも唐突なんで思わず聞
き返した。
は?ドロカキですか?
偽りんどうがまたクチを挟む。
「福井の○○村でやってるでしょ?(まさか知らないの?って顔で)」
(知ってるっちゅーねん!)
「私はそれをやりに来たんですよ」偽りんどうが続ける。
え?そうなのか、ボランティアでわざわざ関西からやってきたのか、ほぅ、それは偉い
じゃん。それは「にせ」じゃなくて本物りんどうに通じるものがある。ふーん、ちょっ
と見直した。怒り度−2(計5point)
しかし偽りんどうの次の言葉に唖然となった。
「あんなに喜ばれることないですよ、めちゃめちゃ感謝されました」
まぁここまではいい。次だ。
「会社で上司に怒られていやな思いしてたんだけどボランティア行くのは最高のストレ
ス解消ですね、上司の説教なんてあの(ボランティアの)感謝の言葉で全部消えますか
らね、感謝されるって最高ですよ、はっはっはっ」
なんだそれ?・・・・・
彼の話ではいろんなところにボランティアに出かけてるような話だった。
しかし彼のセリフ自体は私の印象で屈曲して書いてるかも知れないが雰囲気は
「感謝されたい」からボランティアに行く。
「喜ばれる」から行く。
それが「ストレス解消になる」から行く。
そんな話の内容だった(内容に聞こえた)。
怒り度+8(計13point L的許容量オーバーフロー)
地図をパタンと畳んだ。(出よう、ココを出よう)そう思った。
(続く)
【3日目】その(1)の(6)
地図をパタンと畳んだ。(出よう、ココを出よう)そう思った。
偽りんどうがいなかったら「畳のある道の駅」=「最高の野営場所」だったのがこん
な奴といっしょにいたくはない。いたしかたない。
彼らはココで夜をあかすと言う。
もうこれ以上偽りんどうと話たくもない。
体のやすらぎ(安全に寝れる場所確保)のメリットよりも精神的デメリットの方が大
きい。心の安らぎが欲しい。
========================================================================
私「寺泊あたりで野営できる場所ありますかね?」
偽「あぁ、港の横に公園がありますよ!キャンプしてる人もいますよ、ただ、キャンプ
禁止の看板を見ないようにしてね(^^)」
それが偽りんどうとの最後の会話だった。
最後においしい情報をもらったことは感謝したが時すでに遅し、
しかも彼のその情報を頼ったことですさまじく寝れない夜を過ごすことになろうとは
その時知るよしもなかった・・・結局12泊13日のこの旅でこの偽りんどうを越え
る不愉快なキャラはいなかった。この旅で最悪の出会い。それも旅・・・か。
※
畳で寝れる道の駅・・・・究極で至高の天国のような道の駅・・・
あぁ残念残念、バカがいなけりゃ極楽だったのに・・・・
負け犬は再びバイクにまたがり闇の中を北へ進んだ。寺泊まであと40km。
到着予定22時半。
はたしてそこでほんとに野営は可能なのだろうか・・・
3日目その(2) 短い夜 へ続く。(ページオチしないうちに(^^;)
【3日目】その(2) 短い夜(1)
負け犬に安息の寝床はない。
偽りんどうの二輪魂はどこにあるのか?・・・
20年前の俺、その時は400ccに乗ってまだ半年である。原付で2万kmは走ったがその
ころは町中の「大きいバイク」が全て先輩。誰でもかれでも会う人見る人が新鮮で尊敬した
ものだった。彼からしてみれば私より自分の方がツーリング歴が上だと思ってたのだろうか?
俺が30過ぎぐらいに見えたのかな?で、彼も30代だったのか?そう言えば歳の話は出な
かったな。ふむ・・・だからイヤなんだ。白髪もなくて若く見られる自分が(苦笑)。
あー、せめてもっと無精ひげ生えないかな・・
ま、もういいや。自由に浸りに来たのに愛想笑いをするぐらいならベンチで寝た方がいい。
※
道を間違えてることに気づいたのは寺泊(てらどまり)まであと20kmのところだった。
本線の8号線から離れて日本海の海岸線(352号線)を走ればいいのに市内のごちゃごちゃ
した道で曲がり損ねて海岸線と平行に走るもう1本の内陸側の国道に乗っていた。
おにぎり狩り?この時間でもうそんなことはどうでもいい。
今一番気になるのは寺泊は今夜の寝床となりえるのか?たったそれだけ。とにかく早く寝床
を確保したい。
今走ってる国道から寺泊に通じる国道に乗り換えるための交差点でコンビニを発見。プロペ
ラ道の駅から1時間たったので休憩だけはしっかり取る。移動点観測用のカメラはとっくに
電源をオフしている。こんな夜中の田舎道で写るものは何もない。
20分ほど休憩し、狭い道の丘を越えること15分、日本海に出た。町、いや漁村かな?に
は街灯も少なく、海も真っ暗だが潮の香りはした。
道はT字になっており、そこから右に10kmほど行けば寺泊。
しかし左にたった1km行ったところに道の駅(352号線:越後出雲崎天領の里)があること
は確認していたのでまずはそっちに賭けてみた。港で野宿は未経験だし、道の駅なら(野宿
に適してるかどうか)目利きができるし。
だがこの1km(往復2km)の走行は無駄だった。
「越後出雲崎天領の里」なる長い名前の道の駅は深夜のいちゃいちゃ車の巣窟だったのだ。
ガラガラガラガラガと乾式の音がとっても迷惑で場違いなのはすぐにわかったのでいそいそ
と退散。同じ道を戻る。先ほどの交差点を通り越して寺泊に向かう。
寺泊まであと0.5kmのところでコンビニ発見。あー、助かる。夕方のケンタッキー以来何
も食ってない。食料はここで確保できる。コンビニの場所をしっかりと記憶してまずは寺泊
港に向かってみた。
※寺泊港着。22時半。(はぁ、やっぱこの時間になるのね(^^;)
ほぉ、なるほどなるほど。
フェリー乗り場のターミナルと広々とした駐車場。海に面している場所はサッカーコート
の半分ほどの広さの手入れされた公園があり、芝生が敷き詰められ、ベンチもある。
適当な場所にバイクを停め、ヘッ電(頭部装着ライト)とマグライトを片手に散策開始。
うーん!いける!
波の音、ベンチ、それもいい具合に外からは死角になってる。
更に夜釣りの人がちらほらと防波堤にいて「安全」の匂いに満ちている。
30m先には背の高い強力な電灯があり駐車場を照らしている。
その光がやんわりとこちらに届いている。いけるいける♪
偽りんどうが言ってた「キャンプ禁止」の気になる看板も俺は見つけることが出来なかった。
GOOD♪今夜はここに決定♪
さっそく先ほど見つけたコンビニまで逆走。
コンビニはこの時間(23時前)でも繁盛していて車も多い。中に入ってカップルの横をすり
抜けるときに「んん?」って臭いがした。
あれ・・なんだっけ?この臭い・・・・あ・・・シンナーくさ・・・・
そのカップルをちら見するともう救い様のない男女だった。
あー、危な・・・目を合わせないようにぃ・・・・買い物終了。
食料とビール、缶チューハイ。それから野営地に水道はなかったので2リットルの水も買った。
顔洗ったり歯を磨くのに必要な水だ。当然飲むこともできるし。
ビニール袋をハンドルにさげ(かっこわる!)、寝床に向かう。うーん、この時ってマジ
でなんか嬉しいのよね。あー、早くビール飲んでラジオ聞きながらゴロンとしてぇー。と、
テンションアップ(^^)
(続く)
【3日目】その(2)の(2)
公園の中にバイクを乗り入れ(芝生じゃないよ。公園内の歩道によ)、その横のベンチでまず
は「脱ぐ」。革ジャンに革パンに脊椎パッドにブーツに、とにかく下着以外全部脱ぐ。
見る角度から見れば公園でパンツ1枚の男が確認されるわけでちょっとは気を配る。
別に見られたくないわけではないが「変な人がいる」と通報されるのはごめんだ。(いや、実
際「変な人」なんだろうけどさ。俺)
鷹巣荘のタオルにミネラルウォーターの水を浸し、絞ってから体を拭く。ミネラルウォーター
で体を拭くなんて贅沢だなぁ、なんて思うけどこんな時は水(水道)のありがたみがわかる。
水道さえあれば携帯用のバケツ(折畳式のビニールのバケツで3リットルぐらいの水を入れら
れるキャンプ用品、1000円程度)は持っていたのでそれでこと足りるのだが水道がないならこ
うするしかないのだ。
(風呂どころか24時間体も拭かないってのはいくら野営でも生理的にイヤな私)
洗濯は?下着は毎日替えるのか?なんて質問はツー話の中でもなかなか遠慮して話題になるこ
とは少ないのだが話のついでによい機会だから少々お話しておきましょう。
※ロンツー時のパンツ交換サイクルについて(笑)
この話をするとロンツーとかそんな限定条件でなく「日ごろのサイクル」がほとんどその人の
回答になると思っていい。
毎日替えるのが「当然」の人はツーリング中も「毎日」でしょう。生理的に毎日履き替えない
と耐えられない部類の人間だから「ツーリングの時は」でも我慢できないことが多い。
2日間替えなくても「平気」の人はツーリング中も「2日サイクル」でしょう。
1週間でも平気な人は・・・考えたくない・・・
私は「ほぼ」、「毎日」サイクルです。日常が。
仕事で遅くなって会社の近くのカプセルホテルの泊まったときなんかは替えません。
いちいちコンビニでパンツ買っても会社は金払わないしパンツが増えるいっぽうだ。
まぁいざと言う時のために引出しには1泊2泊、多いときには3泊分のパンツ、シャツ、靴下
などを忍ばせてますがね。
んでツーリングとなると・・・
これは逆に「毎日サイクル」でないと耐えられないのだ。
12時間もシートに座りっぱなしだから次の日に同じパンツを履いていたくない。
かと言って10枚以上もパンツは積載しない(そんな奴いないと思うが)。
さらに俺は「面倒くさがり」なので洗濯しながら。もまずあり得ない。
ではどうするか?
答え:使い捨てのインナーパンツ(12枚)+普通のパンツ(2枚)+予備1枚*
で12泊13日を過ごしました。
「使い捨てのインナーパンツ」・・・あぁ、20年前はなかったなぁ、こんな便利なものは。
なんと100円ショップに売ってるのよ。
6枚?ぐらいで100円で。とっても小さく梱包されてて「旅行用品」で売ってるのよ。
だから毎日毎日インナーは新品、アウターは1週間履いていたがこれはGパンを1週間履く
のと同じ。股間に非接触だからいいのだ。
履き心地は悪くないがうすっぺらい紙おむつみたいだから人に見られると結構恥ずかしいかも
知れません。ロンツーの時は是非お試しください。
予備の1枚*:これはどしゃぶりでパンツまで濡れた場合、そのパンツは最悪捨てるかも知れ
ない。そうなると手持ちのパンツが1枚では心もとないので「予備で1枚」なのだ。
(実際、予備のままで終わった)
靴下も100円ショップの奴か捨てる寸前のボロ靴下を使い捨てです。
2日に1回のサイクルで捨ててました。
え?んじゃー100円ショップも、その使い捨てインナーパンツも無かった20年前はどう
していたかって?そん時はですね、パンツは5、6枚持ってました、
んで2日に1回の割合で「捨てて」ましたね。洗濯した記憶はない。
やっすーい、もうそろそろ捨てようか?みたいなパンツ持ってるでしょ?
それを捨てないで貯めておき、ツーの時の「使い捨て」で使用してました。靴下も48時間
で捨てる。だから私の場合、ツーリングの日数が経つにつれ、段々荷物が減って行ってまし
たね。(笑)
ま、こんな話もロンツー未経験者にはおもしろかろうと・・・(余談終わり)
(続く)
【3日目】その(2)の(3)
裸足にスリッパ。全身から足の指の間までを拭き拭きしてさっぱりしたあとは寝る用のTシャ
ツとズボンに履き替えベンチに食材を並べ、ろうそくのランタンを燈し、ラジオの選局をあわ
せれば「ご満悦」の至福の時間が訪れる。
23:00すぎ。
さぁ・・・・寝ろうかな・・・・どうやって寝ろうかな。夜風が少々強くは感じたがこれなら
空をみながら寝れそうだ(テントを張らなくても)。
エアマットを満タンにして芝生の上に敷いてみた。ごろんと横になったが地面はなだらかな傾
斜があり、足より頭が高い。20cmぐらい。でもその高さに違和感がある。
そう、人間って水平で寝ることに慣れてるからたったこの程度の傾斜でも気になるものだ。
かと言ってベンチの上は少々狭い。
実は書かなかったけど一昨日の野営ではベンチの上に寝ていたんだがベンチが細くて夜中に落
下して肘をしたたか強打したんだ。もうあの二の舞はしたくない。
マットを横に向ける。そうすれば左右の高さが若干違うだけなのでなんとか寝れそうだ。
うとうととし始めた。
23:30ごろ
バンバンバンバンバンバン!
すさまじい野太いエンジンが聞こえてきた。珍走族のそれとは違うブルトーザーのような馬力
を感じるエンジン音。
はぁ?・・・・何?
ボーっとした目で音の方を見ると50m先の港に30人ほどの人だかりがしていてる。
船だ。船がエンジンかけてる。
半身を起してそのまま眺めていると後方からもまたエンジン音。後方?後方は海だ。
目の前20mの海の上を漁船が横切っていく。ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!。
えぇー・・・・すげーうるさいんですけど・・・・寝れないじゃん・・・
そう思ってるうちにまた船が入って来る。あぁ、その後ろにも船。。。
どんどん船が「帰って」来ているようだ。
ええー、0時だよ?そんな時間に帰って来るんだ・・・・げっそり。
港はさっきよりも人が多くなっている。いわあゆる水揚げ?の作業のようだ。
しかも異常に明るい。直視できないほどの光源が発光している。
まるで「未知との遭遇」でダクラス・トランブル(特撮技師)が演出しているかのようだ。
今まで体感したことがないくらい「強い光」が放射されている。
野営ポイントは目を凝らさないとデジカメをどこに置いたかわからないほどだったのにこの光
のせいで今や煌々と照らされ、槍号もしっかり浮き上がっている。
ふぁー・・・すげぇー・・・って言うか眩しい・・・うるさい・・・寝れない。
寝れないならせめて見に行こう。。。。E-1を手に人だかりの方へ歩んでいった。
挿し絵:
(http://www.koa.jp/ducati/Ferrari/Nippon4700km/sasie-07242344-minato1.jpg)
そこは活気ある情景だった。
男どもが大声でなにか言ってる。光源は漁船にいくつも吊るされた電球だった。きっと海の
上で魚を集めるための光なんだろう。それを作業の照明として使ってるようだ。こんなに明
るいのか・・・間近で見るのは初めてであり、ちょっと興奮した。
岸べの人達はいったり来たりと今夜の収穫をどこかに運んでいる。
この時間を待ち受けていたのか、どこに潜んでいたのか、地元の主婦らしき数人がその場で
魚を分けてもらっているようだった。あぁ、漁師の奥さん連中なんだろうか?・・・
飛び交う方言のせいもあるのか、とにかく俺はなんだかその人の波に近寄るのがとても「部
外者」的感覚であるように思えてなかなか近くにいけなかった。
「なんだおまえはー!」と怒鳴られそうな雰囲気もあった。真夜中だし。
だって首からカメラぶら下げてさ、見た瞬間に「よそ者」とわかるし。
あの公園で野宿してるのも地元民がどう思ってるかわからないし・・・だから遠巻きにパシャ
パシャを撮影を楽しんだ。なんせ生まれてこのかた、漁船の水揚げシーンなんてナマで見た
ことなんてない。夜が明けるころのイベントと思っていたのだがまさかこんな夜中に大騒ぎし
て水揚げするなんて知らなかった(まぁ、獲物や漁法や季節で違うのだろうけど)。
30分ほどでそのイベントは終了した。
帰って来た船もいまやエンジンを止め、人影もあっと言う間にまばらになった。
(続く)
【3日目】その(2)の(4)
いいもん見たなー、いやー、いい思い出1つできたわー。
目はばりばり覚めてしまったけど・・・・
さーて・・・どうしようか・・・なんか落ち着かないな。マットの上で寝返りをうつもののな
んとなく眠りに入れない。そう言えば夜風も少々気になってきた。
風邪ひくかな・・・それだけは避けないと・・・・視線がふと一点でとまる。
・・・・あの中はどうだろう?・・・・・
公園の中央にソフトクリームの先端のような形をしたオブジェがある。高さは5mぐらい。
寺泊港のこの公園に来てからずっと気になってはいた。最初に散策する時に覗いてみたが
中は空洞でこたつ1つおけるぐらいの広さがある。ドアはないが「かまくら」のような穴が3カ所
あり、中へは容易に入ることができる。
・・・・あの中だったら風よけにもなる。万が一雨が降っても心配ない。しかもとりあえず閉鎖
空間だから熟睡できるかも・・・・バイクからやや離れてしまうのはちょっと気になるが・・・
ヘッ電装備で15mほど先のそのソフトクリーム(以下「かまくら」と略)の中をもう一度確
かめに行った。うん、たしかに風はかなり防ぐことができる。ここで寝るか。そう思って脱ぎ
ちらかした服やランタンやらラジオやらをかまくらの中まで2往復かけて搬送した。
バイクを置き去りにするのでバイクカバーをかけ、なるべく姿を見えないようにする。
むき出しにしてると「なんだこの(正体不明な)バイクは!」と興味をもたれいじり回される
可能性が槍号の場合格段に高い。イロモノカスタムのデメリットでもある。
さて、これで今夜は大丈夫。
かまくらの中でランタンの明かりで一服したあと寝れそうな波長に包まれてきた。
革ジャンをふとん代わりにして横になった。。。。。。と思ったら声がする。
「っち、槍号のシートでもめくってるんじゃないのか?」と思って穴から身を乗り出してバイ
クの方を見たが人影はなかった。さらに首を伸して周りを見ると暗闇にアベックらしい影。
はぁ・・・まぁいいや害がないならそれでいい。
しかし今何時だよ・・・・あ!・・・・そうか・・・・今まで気づきもしなかった・・・今日
は「土曜日」ではないか。まずい・・・・なぜ今まで気づかなかった・・・失態、失敗、失策
の単語がわき上がる。
結婚して15年、その間野営のロンツーはしたことがない。久しぶりで長年の野宿ロンツーの
教訓をすっかり忘れていた。それは
『土曜日は野営するな』 である。
土曜だけはできればちゃんとした宿に泊まるべきだ。
だめなのだよ、キャンプ場ならまだしも非公式な野営はその地元を知らない限りするもんじゃ
ない。なぜかと言うと「夜更かしの人間」「ヤンキー」「珍走団」それらの憩いの時間なのだ。
もう何度苦い思いをしたことか・・・深夜2時にテントから20m離れたところで珍走団と
警察の2時間におよぶ抗争やら、海岸で延々と花火大会やら、ホイルスピン大会やら・・・・
土曜の夜は・・・・まずい・・・・
しかし今から場所を移動するのも無理だ。まず泊めてくれる宿はない。ラブホも満杯だ。きっと。
うーん・・・どうか何事もないように・・・・
しかし予想通りの事態がおきた。。。。
深夜01:00
声がする
「あれなにぃ〜」
女の声だ。しかも声の方向でわかる。「あれ」とはまさしくこのかまくらのことだ。間違い
ない・・・(泣)
きた・・・・バカが来た・・・どうする?寝た振りか?でもそれも怖い。。。
「あの中入れるんよ」 男の声。 声の種類で複数の男女とわかる。
え?・・・アベックじゃないの?団体さん?
ちょ、ちょっとまて、まさかあのコンビニで見かけたシンナー臭いお友達グループじゃなぇ
だろーな?え?(焦り)
対処方法を考える暇もなく複数の男女はもう3m近くに来てる。まっすぐここに向かっている。
かー・・・・ヤッベー・・・どんなリアクションを取るべきか?笑顔か?それとも怪訝そうな
顔をするか?私の脳は非常警戒態勢だが「策」がない。かろうじてレザーマンの折り畳みナイ
フの位置だけを確認しておいた。しかしコレはナイフの刃を出すまでに30秒はかかる。しか
もおもちゃじゃないからズバズバ切れる。暗闇で刃を出すなんてしたことない。きっと手が切
れる。。刃を出したままにしておけばよかったか?・・・しかしそれも見方によっては好戦的
な証拠となるので普通はしない。しかも時すでに遅し。。足音はすぐそこに迫っていた。
そして、
「きゃ!人がいる!」 女に発見された。
(いいところで続く)
【3日目】その(2)の(5)
「きゃ!人がいる!」 女に発見された。
「あ、どうも、寝てました(^^;」 ペコリと頭を下げる俺(結局そんなリアクションかい!)
「あ?人がいるの?・・・・あ、どうもすみません」男が言う。
(うっわー、よかった、まともじゃん!)大いに安心するシャバ僧の俺。
でもまだ油断はできない。
「はぁ、寝るところなくて・・・」同情を買う響きで悪人でないことをアピールしながら
探索モードで相手をスキャン。
団体さんは男3人、女2人。
手に花火の袋をもっている。どうも花火をしにきたらしい。
1人ボスがいるようだ。暗がりでよく見えなかったが両腕に本物かどうか知らないが入れ墨
がある。頭は金髪、まぁヤンキーには違いない。
先客にしらけたのか団体さんはそのまま海の方に近いベンチに移動して行った。
かまくらの穴からそれを見る私。
柑橘系(シンナー中毒)じゃなくて良かったがこんな夜更けにこんなところに車で来るしか
ないし大学生っぽくもないしやっぱヤンキーなんだろうなぁ。。。さっき声をかけた男は
子分さんのようだ。ボスを○○さんと呼んでいたし先輩後輩の仲なのだろう。まぁ花火なん
てしに来るぐらいだからカワイイ部類か・・・
しかし一向に花火は始まらない。
そうこうしていると女性2人がこちらにやって来た。
(え?なんだろう・・・俺に何の用事があると言うのだろう・・・・)
さて、リアクションの第2弾を取らなくてはならないのだが彼女らの言葉にちょっと耳を疑った。
「あのー、風が強いんでココ(かまくら)で花火したいんですけど移動してくれますかぁ?」とな。
ピキ!(-- 怒り度+2
花火なんて遊びのために家のない俺に出て行けとな。
しかも女性達はボスに言われたか子分に言われたか知らないが「言いに行け」と言われて
やって来たのはなんとなく口調でわかった。まぁなんと節操のない・・・
「え?じゃぁ俺はどこで寝ろと?・・・」
「ですよねぇ・・(^^;」そんな反応をする女子。
この子らに罪はない。しかし移動を拒否すればヤンキーさん達が「あんたねぇ・・」とやって
来る可能性もある・・・0.2秒で解決策を出した。
「これ、どんな強風でも火がつきますよ(^^)」
と言ってターボライターを見せる。ヤンキーさん達は花火に火が付けばいいのだ。このかま
くらに入りたいことが目的ではない。
アイテムを差し出すことによって「貸し」もできる。ヤンキーに義理人情、任侠道の心得が
あればそれは俺にとっても安全度は増す。
「それともコレはどうですか、」
と、ロウソクのランタンも差し出す、ランタンの上部から花火を入れればいつでも火が付く。
って言うかもうその時は俺自身がライターとランタンを持ってヤンキーさんの方に向かって
歩いていた。ヘッ電も装備してまさしく深夜の救世主の登場!の演出である。腹の中は、
(しゃーねーや、さほど危険なヤンキーでもなさそうだし、女連れならむちゃもしまい。
今夜はヤンキーと花火大会でもすっか・・・腹をくくろう(苦笑))そんな気持ちだった。
外に出ると思った以上に風が強くなっていた。Tシャツの袖がバタバタと翻るほどの強い風。
これじゃ100円ライターで点火するなど無理だ。アイテムを使って1つ2つ打ち上げ花火を
成功させたのはいいが・・・いかん・・・・きゃっきゃきゃっきゃと騒ぐ女子とは裏腹に入れ
墨のボスは不機嫌になってきたようだ。花火を見ないでベンチにごろん、となってしまった。
たぶん楽しい一時によそ者が入り込んで「花火に火を付ける」大役をしてるのが気に入らない
風に見える。(だっておまえら火付けるのへたなんだもん!)でもヤバそう(^^;
(うーん・・・・キレるかな、キレないでね。。。。ここは一旦下がるか・・・・)
ライターとランタンをその場に残して「じゃぁ、それ使ってていいよ」とかまくらに引き上げる。
その後子分達が「○○さん、あそこに行きましょう、あそこなら風来ないですよ」と説得を
してる声が聞こえた。
ランタンを返却してもらい足音が去る・・・・はぁ・・・・01:30、イベント終了・・・・
こんなイベントは勘弁して欲しい・・・
1/3ほど残ってた缶チューハイを一気に飲み干すとまた横になった。 が。
ヒュ〜ゥ、パンパン!パン!
さっきのヤンキー、小さい入り江の対岸で打ち上げを花火を無事続行。風に乗ってその音が
かまくら内部に反響する・・・去ってくれたのはいいが寝れないことに変わりなし。しかし
なんとなくウトウトしてたような気もする・・・
深夜2:00
ウォンウォンウォンウォンウォンウォンウォンウォン!
豪快な騒音で目が覚める。
出た・・・・・地元の珍走団の効果音がえんえんと鳴り響く。(がっくし)
やばいなぁ・・・この公園までまさか入って来ないよな?
フェリーターミナル前の駐車場が集会場じゃないよなー。
ちょっとこっちに来れば槍号発見されるなー、やだなー。
槍号の横で待機しておこうかなー・・・あーん・・・・・
効果音は30分も続いたが幸いこちらに入ってくる気配はなく、港周辺の道路を迷走して
いるだけだった。。。ふぅ・・・・やっと寝れる・・・・か?
深夜3:00
バタバタバタバタ!勢いのある足音でビクッとして目が覚める。
は?何?思わず上半身を起こすと暗闇の中、かまくらの穴からこっちを覗いている人影。
え?と顔を向けると同時にまたバタバタバタバタ!と遠ざかって行った。
男か女かもわからない。なんだったんだ・・・・寝かしてくれ・・・・バタンと倒れる私。
深夜3:30
バンバンバンバンバンバン!
すさまじい野太いエンジンが聞こえてきた。珍走団のそれとは違うブルトーザーのような
馬力を感じるエンジン音。
あ?ちょっと待て、この聞き覚えある音は・・・・
漁船群団が一斉にエンジンスタート。出航だ!漁だ!それ出陣だぁー!港は大騒ぎ。
ま・じ・で・す・か・・・・・?
あんたら0時に帰ってきたじゃん。今3時半なんですがもう出発ですか?
帰って来た人と同じなの?それとも交代勤務ですか?
ピキ!(--
もういい、切れた。もういい、どうにでもしてくれ!
決意した。
「もう俺は寝ない!」
怒りとともに立ち上がった私。都合1時間も寝てないでしょう。
でもいい、もうココでは寝れません。寺泊港の公園では寝れません!>ALL!
(特に土曜の夜は!)
※
ええっとー・・・・確か佐渡島行きの船は7時だったよな。
あと3時間もすればターミナルで受付して今日は走らずそのまま佐渡で民宿探して
砂金掘りでもしてみるか?こんな状態で走ったら危ないわ。それがいい。
眠気さましにミネラルウォターの水で歯をごしごし磨きながらヘッ電をつけて散歩を
始めた。ぶらぶらとターミナルビルまで向かう。
ガラス張りのビルの中をヘッ電でなにげなく照らした。
衝撃が走る。
は?え?
目を凝らして何度も受付の壁に書いてある佐渡行きの時刻表を見た。
第1便 出航時間 9:50→11:50 (注1)
はぁ?くじ:ごじゅっぷん?
目を大きく見開いて体が硬直した。
7時じゃねーんかい!朝7時じゃねーのか?
後で調べてわかった。朝7時発、それは「赤泊→寺泊」の逆方向の時刻表だった。
地図に自分でちょちょいと書き込んだ時刻表の見間違いだった。
今更ながらプロペラ道の駅で地図をゆっくり見れなかったことが悔やまれた。
10時まで・・・今から6時間も「ここ」に留まっていなければないのか?
そりゃ無理だ。寝れもできないこんな場所で時間が経つのを待つなんて到底できない。
(注1.7月31日〜8月17日はこの前にもう1本6:00→8:00がある)
朝4時
短い夜が明けようとしている。空が静かに明るくなって来た。
挿絵:http://www.koa.jp/ducati/Ferrari/Nippon4700km/sasie-07250423-yoake.jpg
朝5時
槍号に火が入る。ボロボロの状態で4日目がスタートした。
「朝焼けの光の中に立つ影は〜、ミラーマン!ミラーマン!」やけくその歌を
歌いながら怒りの出発、しかし心の奥で不安が募る。
寝不足で体力的にもつらい4日目。
そう、20年前事故ったのも「4日目」だった。場所も同じ、秋田へ入る前だった。
集中力を欠いて停まってる車に追突した4日目。
警察の現場検証では20m以上のブレーキ跡が残っていたと言う。
あの忌まわしい縦断の『汚点』。
その不安を打ち消すように、ヘルメットの中の歌声はさらに大きくなった。
4日目 鬼門、秋田へ に続く