12日目(1)(2)
□コメント
雨、翁亭、温泉、パプリカ。
□本文
12日目(1)
『12日目:8月2日 民宿「翁」』
待ち合わせ場所はすぐにわかった。時間は9時、雨も小ぶりになり合羽を脱いで
翁の到着を待つ。
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翁がやって来て笑顔でなんやかんや会話したあと早速誘導してもらいつつ翁亭へ
向かう。翁とは何度も会ってるが自宅におじゃまするのは初めてだ。
9時10分 到着。
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荷を解く私(撮影:翁)
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翁のバイクは94年式DUCATI-Monster。私より1年古いMonsterだが基本性能は同
じであり共通する話題(故障?)も多くお互い「古いバイクを長く大切に乗る」
タイプだったので性格的も似たもの同士、さらに翁は九州にも長く住んでいた
し、実家も福岡なので九州人の「悪態をつくノリ(冗談)」も通じるから気兼ね
することがないのがいい。
彼のバイクは彼の職場である理容室にディスプレイ化されて鎮座されてる。もち
ろん飾っているわけでなくそこが彼のバイクの車庫なのだ。私のバイクも店内に
入れてもらった。理容室にどどん!と2台のバイクが(しかもDUCATIが)存在す
る風景は珍しく面白い。
さぁーって!ゆっくり一眠りでもするかな、なんて思っていたが人好きな翁はそ
うそう客人に暇を与えない。私も翁とゆっくり話すのも久し振りだったから彼の
勧めるまま車に乗せられて近くの温泉に行くことになった。
外は雨、助手席に深々と座り、翁の運転に身を任せ、田舎の一本道を小一時間ほ
ど走るわけだがそれがなんとも楽チンである。なんせ自分でなにもせず移動して
るわけで車内は暖かいし、座ったままで景色が流れる。あー、車って楽だなぁ・
・・マジそう思った。
行き着いた温泉は亀嵩(かめだけ)温泉、玉峰(たまみね)山荘。なんでも「砂
の器」で有名になったとか。
http://www.town.nita.shimane.jp/tamamine/
午前中だったこともあり、がらがらの温泉で文字通り羽を伸ばすように浸かった。
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風呂から上がると今度は食事、「(鰻の)ひつまぶし」が2人前から準備できる
とメニューに書いたあった。翁の奥さんは鰻が苦手らしく、翁自身も「ひつまぶ
し」自体がピンと来ていなかったようなので私の強い要望で「ひつまぶし」を注
文した。
これが大当たりで翁も大満足、これなら女房も食えるだろうと言っていたほどだ。
温泉、食事を満喫し、それ以上に「会話」と言う満足に浸りながら温泉を出る。
途中で翁が勧める洋菓子屋でsteveへ縦断のお土産の贈り物をする。なんせ「お土
産」なんて買って持ち帰るような旅じゃない。けどなにかしら帰還報告を兼ねる
意味合いでも「お土産」はしたい。だから宅急便で送れるみやげは大変助かった。
午後に翁亭につくと私は畳の部屋でぐぅぐぅと寝てしまった。そりゃそうだ。公
園で2時間しか寝てなくて温泉入ってメシ食って畳にごろんとなってりゃ寝ない
方が変である。
寝てる最中に、翁亭に豆腐屋さんがやって来た。この豆腐屋さん、ネットでしか
会話したことがなかったのだがどうも寝ぼけていてペコペコと頭を下げたことぐ
らいしか覚えてない(^^;
夕刻頃目が覚めると外は「これでもか!」と言うほどのどしゃぶりだった。滝の
ように雨が降っている。わぁ・・・九州特急を却下してよかったなぁ・・・と思
った。この雨、高速でこの状態を想像しただけでも憂鬱である。
民宿翁で夕食をご馳走になり、急に上がった雨で虹が出てるとのことで翁亭の
「屋上」に上がり、虹を見る、慌ててE−1を撮りに帰り再び屋上に戻ったころ
には虹は消えてしまっていた。
それでも夕刻の雲が綺麗で何枚も撮った。(19時過ぎ)
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さて、そんなイベントもあったがなんと今日は翁が主催する島根のバイク仲間の
クラブ「Paprica(パプリカ)」の定期ミィ−ティングの日だとのこと。パプリ
カの面々には知ったライダーもいるし、元来、人に遠慮するタイプではなかった
ので何も悩まず喜んで同席させてもらうことにした。
会合は19時半。ミィーティングはDEAN(翁の店)の店内。Freemannさんも登場。
私は部外者なのでクチを挟みたいのもちょっと堪えてパプリカのマジメな活動に
感心しながら隅の方で漫画本など読んでました。
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二輪魂(私のサイト)でもこんな活動をしてもいいかな、とは思いはするが主催
者がいい加減な人間だからまず「無理」。だいたい主催者がソロツー好きでは会
合もオフミ(ィーティング)もあったもんじゃないだろ?(笑)
ミィーティングも終わって21時ごろになっただろうか?私は翁亭の2階の小さ
な部屋で寝ることにしたがここで翁が勧める「ジャジャ」って漫画を4冊ぐらい
読みふけった。これがまた見た目のタッチと違って中身が濃い濃い!そこら辺の
自称ドカティストでも舌を巻くほど濃い!んで面白い!もし古本屋や漫画喫茶で
見かけたら是非とも読んでみて欲しい。
そんなところで12日目は目まぐるしくも楽しいソロツーでは味わえない思い出
深いイベントとなりました。
22時半、就寝。
さて、いよいよ明日は最終日。
もう下道には拘らない。ここで一番拘らなければならないのは「無事帰還」、た
ったその1つ、それ以外なにものでもない。
9時に翁邸を出て、浜田道から中国自動車道に乗る。距離にして高速道路で約3
00kmちょっと。昼過ぎには家に着く。「無事に家に着く」。それがこの旅の
最大最優先の課題、目標、使命。
そして旅の最終日はこの旅のタイトルにもなっている「21年前の忘れ物」を取
り戻すための最後の1日である。
※
民宿翁の2階の小部屋は静かでよく寝れた。家主が酒飲みでないから「まぁまぁ」
と深酒を勧められることもなく、自分のタイミングで寝れたことはありがたかった。
翌朝、2004年8月3日 出発して13日目。
天気は「快晴」。うん、こうでなくっちゃ♪
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仕事場からバイクを出してもらう。翁が出してくれたのだが大柄な翁が私のバイク
を取り回ししていると自分のバイクが凄く小さく見えた。
翁も自分のバイクを出し、途中まで送ってくれると言う。浜田道へ通じる地元道が
あるらしい。
軽装の翁にフル装備の私が追従する。2台のLツインサウンドが田舎道でハモるの
はソロツーにない楽しさだ。
30分ほどで翁のターニングポイントに到着。
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自分が乗車している写真なんてこの旅、この1枚しかない↓
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翁とはいつでも会える、センチな気分にはならない。「じゃ!」と言って翁は来た
道を、私は旅のエンディングに向かった。
(続く)
12日目(2)
1時間半ほど順調に走り、この旅最後の下道休憩。道の駅に水車があり、手抜きで
携帯で写真を撮る。
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それから30分走り、とうとう浜田道の入り口までやってきた。この浜田道に入れ
ばそのまま自宅から約10kmのインターまで高速に乗ってるだけだ。この旅の下
道はこれで最後と言っていい。「とうとう」、「とうとうここまでやって来た」。
最後の給油を行なう。
が、なんとそのGSでこの旅一番「必死」なイベントが発生した。
普通に給油し、GSを出ようとしたところで最後の積載チェックを行なうべく、
公道に出る前にバイクを停めた。一通りチェックしたあと、偶然にも「おにぎり」
を発見した。あはは、なんだここ国道か、じゃぁせっかくだから最後に1おにぎり
ゲットしておくか、とE−1を出して撮影。
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さて、それじゃ出発するか!
とバイクに跨りセルをキュッと押した瞬間、バイクがドドン!と発進しやがった!
ど!どぇーーー!
慌ててハンドルを全力で掴む、そう、停車する時にたまたまギアをローのままにし
ていたのだ。これは停車する場所が不安定だったり傾斜していたりしてる時に時々
あえてローのままで停車をする小技であるがこのGSで何を思ったかなんとなくロ
ーのままエンジンを切っていたことを一瞬で思い出した。(今時のバイクはギアが
ニュートラでないとエンジンがかからないような安全装置がついているそうだが)
セルの力で30cmほど進んだバイクはグラ〜っと右に傾き始めた。
マジデスカ?!タオレマスカ?!@_@
ひ、ひぃ〜!こ、ここで?!この最後の最後で「タチゴケ」すんのかよ!!
不意を突かれた時の姿勢制御はかなり焦る、焦りまくる。
上半身をぐぃぃぃっと左に傾ける、倒れていく方向と逆側に力一杯体をよじる。し
かしそうすると右足が浮いてしまうのでほんとはパッとケツを倒れる右側に移動さ
せて右足をバン!と地面に降ろして踏ん張る方が得策なのだがもうこの時はケツを
浮かせた瞬間にそのまま右に持っていかれそうなバランスだった。タチゴケでよく
あるパターンである。
ガス満タン、タンクの上には一眼レフ、フル装備!
重(おめ)ーよ!このぉー!
歯を食いしばるぅぅぅぅ〜!
体をよじるぅぅぅぅぅ〜!左側に思いっきりよじるぅぅぅぅぅーー!
右わき腹の筋肉がプチプチ!っと2、3本切れる感覚が走る。(マジ)
いでえええええええ!
た、倒れるかぁ?倒れるか?
コ・コ・マ・デ・キ・テ、タ・オ・レ・ル・ノ・カ?
スローモーションのような時間。
倒れるわけにはぁあああ!無事故!無違反!無転倒!
ノートラブル、ノークラッシュ、ノーポリス!
21年前に成し得なかったリベンジがたったこの最後のGSで「タチゴケ」で
不達成、『失敗』してしまうのか?
うっそじゃろぉぉぉぉーーーー!!!
い、いやじゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!
ビシビシ!っとまた筋肉が2、3本切れた。
バイクが傾斜したまま10秒ほど戦っていただろうか?
やっと傾斜角度がじわっと垂直方向に戻ってきた。
そして何事もなかったように元に戻せた。
ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、息があがる。
しかも、痛い、わき腹が痛い痛い、筋がテンパッテル。
思わずサイドスタンドを立て、バイクを降りるとそのばでしゃがんで3分ほど休憩。
どれほど前から見ていたのかわからないがGSの店員が不思議そうにこちらを見て
いた、あー・・・ちょっと恥ずかしい(^^;
くっそー、こんな最後の最後でトラップがあったか・・・無事切り抜けたもののマ
ジで冷や汗、この旅一番の「必死」な15秒間だったに違いない。
※
ふぅ、こんなところに「おにぎり」がなかったらさっさと出発していたのに・・・
まぁ良かった良かった。「倒れなかった」。それで結果オーライ。あとはほんとに
もう高速に乗るだけ。
そして。
そして今から。
21年間ずっとずっと後悔してた「忘れ物」を取り返すだけだ。
落ち着きを取り戻し、ニュートラルランプを確認しさらにクラッチを握ったままセ
ルを回し、エンジン始動。
2分後、本州の下道を後にして浜田道に入った。
『13日目:8月3日 21年前の忘れもの 』 に続く