号外編五輪 LongRangeTripper
□コメント
LongRange-Tripper(ロングレンジトリッパー)
私のハンドルの由来である。
□本文
※
2013年9月23日。秋分の日の3連休最後の日 時刻15:32。
ついに日本の国道、523本を制覇した。約11年かかったことになる。
最後に狩ったおにぎり(国道標識)は国道3号線。この3号線は九州の主幹道路
でありいつも目の前にあった。そう、俺が原付に乗って初めて走った国道もたぶん
3号線だっただろう。とにかく九州にいてこの国道を通らない奴はいない。
そんな目の前にある国道。たぶん俺のバイク人生で一番たくさん走った国道。
いつでも狩れる国道。それを最後の523本目に持ってきた。
最初はこの鹿児島から北九州まで延びる393.7kmの国道を起点から終点まで走り、
一番のベストアングル、一番の時刻でおにぎりを狩ろうと思ったが逆にその案は却下
した。一番走った国道だからこそ一番走った、目に馴染んでるアングルで撮ろうと思っ
たわけだ。
昼頃に家を出た。いつもの橋の上で暖気をして3号線まで約3kmの県道を走りやっと
最近片側3車線になった3号線に出る。天気は快晴、ここ10年で地球温暖化も進み
日中は36度まで気温があがるらしい。くたびれたMonsterジャケットのジッパーを全開
にして懐に風を入れながら福岡方面に向かう。
steveに通ういつもの国道。そう言えば5年前までは辺ぴなところにあったsteveだが
今では福岡市東区の自社ビルだから自宅から30kmもない。
あっと言う間に到着してしまうこの距離で「3号線」のおにぎりを狩る予定だ。
ところが「普段のさりげない見慣れた国道」を撮るつもりだったのだが「見慣れた国道」と
言ってもいざ「最後のおにぎり」と思うとなかなかロケ現場を決められない。
でも、このたった今見過ごした「どうでもいい」ような国道標識こそ「見慣れた3号線なん
だろう」と思い直して次に出会った標識の前で絶対狩ろうと思いなおしゆっくりと走って
いると3分ほどでそれは現れた。幸い車線よりちょっと引っ込んだところにそれはあり、
すぐ横にコンビニもあったのでコンビニもいっしょにアングルに収めようと思った。
くだらない構図であるがそれが一番「さりげない」と思った。
コンビニに侍を停めるとたむろしていた今流行りの電動スクーター軍の若者3,4人がいた。
最新の三輪電動の奴だ。(YAMAHAの前二輪、後一輪の第2弾の奴)
そして異端の目でこっちを見る。
そりゃーそうだ、今時こんなうるさいマフラーのバイクなんて走ってやいやしない。
しかもガソリン車だ(苦笑)。
物怖(ものお)じしない若者が寄ってくる。そして興味津々で聞いてきた。
「これ、『キャブレター』ですか?」と。 (笑)
俺は「ああ、そうだよ、よく知ってるね(^^;」と苦笑いしながら答えた。
若者は後方でいぶかしげにしてる友人の方を振り向き小声で「すげー!キャブレターだってよ!」
と言ってる。(おぃおぃ、そんなに珍しいかよ(^^;)
もう1人がそれに反応して勢いで質問してくる。
「捕まらないんですか?」と(^^;
ああ、古い外車は排ガス規制免除だからね。白い目で見られるけど(^^;
「外車なんですか? でもカウルに「侍」って書いてありますよ」
あはは、それは俺の趣味(笑) (いい加減この質問もイヤになってきたな(^^;)
「車検とか税金とか高いんでしょ?」
うん、電動の倍はかかるけどねぇ。趣味よ趣味。
そんな旧車乗りには耳が痛い会話を5分ほどして若者達は無音の三輪バイクで
コンビニを去っていった。電動バイクが出て4年になるが俺はどーもあの「音が無い」
バイクが未だになんだか気持ち悪い・・・
そんな軽いイベントをこなしていよいよ「最後の撮影」に入ることにした。
アングルに凝らない。「ただそこに標識と侍がある」それだけの写真。。。
たったそれだけのなのに・・・・なかなかシャッターが切れない・・・・
2年おちの腕時計デジタルビデオをつけた左腕を目の前にかざしてベゼル(時計の外枠)
を半回転させて風防(時計のガラス部分)を90度立たせてファインダーとして被写体を狙う。
そのポーズで右手人差し指はシャッターを押せずに固まってしまった。
傍(はた)から見たら昔あった名探偵コナンって漫画の腕時計型麻酔銃で誰かを狙ってる
ように見えるだろう。(って、こんな例えでわかる奴いるのか?(^^;)
とにかく家を出るときはそんなに感慨深い思いもなかったのだがいざ最後のシャッター
となる とちょっと込み上がるものがあった。
走馬灯のように・・・・(いや、それじゃー死に際だって!(笑))
523本・・・・・
11年・・・・・・
※
この523本の中で一番思い出に残ったのは・・・ん?1番?・・・・
そりゃー難しいな・・・
wataruさんと米軍ヤンキー?に取り囲まれてマジ殺されるかと思った沖縄の夜。
(詳細は二輪魂:第7部24輪「どうせ死ぬなら」 を参照のこと)
それからターさん達と走った足寄、そこまではよかったが知床での突然の風雪は一生忘れないだろう。
(詳細は二輪魂:第4部11輪「北海道陥落(上・中・下)」 を参照のこと)
あ、400時代に好んで野営していた猪苗代湖に完さん家族と野営するとは思いもしなかった。
(詳細は二輪魂:第5部3輪「湖面、再び」 を参照のこと)
それも忘れられない・・・
この11年。
長かっただろうか?それとも短かっただろうか?
いや、こんな質問は愚問なんだ。
例えば自分が中学生のころや、大学生のころや20代のころを思い出してみればいい。
そんな思い出や時間なんて「過ぎてしまえばすべて『一瞬』だった」なんだ。
毎日毎日が長くても、来週のツーリングのことを思ってる時も必ず時間は過ぎていく。
たった「今」に長いも短いもない。今の一瞬があって10年経ったに過ぎない。
今何を見ているか?
今何を感じているか?
今誰と話しているか?
そんな日々覚えきれない事象の中で「思う」こと、「思ったこと」から生き残り、残った「思い」
で今の自分が作られてきたわけだ。
後悔も反省もあるさ。でも喜びも決意もあった。
だからそんな止まらない時間の中で遅いも速いもないのだ。連続した一瞬に過ぎない。
※
コンビニ前の路上で私は腕時計を外した。
これが終わったら俺は何をしていけばいいんだろう・・・そんな不安は残り100本を切った
時からずっと脳裏にあった。でも考えたくなかった。しかし今、目の前の奴で終わらせることは
事実であり「決定されたこと」なんだ。そんな思いがぐるぐると頭を巡る。
10分ほど立ち尽くしていただろうか。そして・・・・・
(最後は・・・・そうだな、俺もいっしょに写るか・・・・)と思った。
複合チタンカーボン製のヘルメットをバイクから5mほど離れた歩道の上に置いてその上に
カメラをセットし、アングルを決めてバイクの横に立った。腕組みをして右手の中のリモコンの
スイッチを押した。
陽炎が立つほどの照り返すアスファルトの歩道の上。
ピピ!っとシャッター音が聞こえた。
その瞬間だけ私の時間はちょっとだけ止まった。
※
国道魂は完結した。
LongRangeTripperはもう走らない。
でも二輪魂は終わらない。
私はまだ走る。道路の上じゃなくても走るところはいっぱいあるさ。
いや、走らなくてもいいさ、歩いてもいい。進んでいけばいい。
進むべき 『道』 は山ほどある。
/== F904-DesmoDue LongRangeTripper侍ver9.0 2013.09.27 121,365km & RX-10 20,700km ==/
PS.最後のおにぎり画像はニタマの方でもアップ済みですがこちらの画像データベース
の方でタイトルを「3号線」で検索してくれればすぐ見つかります。
(2年落ちの腕時計カメラで撮ったから600万画素で音もちょっと悪いけどm( )m)
END