二輪魂

遙かなる高みを目指し、もがき苦しみながら
Monsterを走らせ続ける男の挽歌

号外編七輪 八丁峠100km伝説

□コメント

□本文
八丁峠100km/h伝説(前編)


1998年2月27日 八丁峠 午後13:30ごろ。

 左に倒れたMonsterは後輪がガードレールの向こう側にはみ出している。
 私の右足はそのMonsterとガードレールにがっちりと挟まれ抜け出すことが
 出来ない状態だった。そう、完璧にバイクとガードレールの間に右足が食い
 込み私は上半身を起こした状態でアスファルトに両手をつき、ひたすら「誰
 かが」通りかかるのを待つしかなかった・・・・

 バイク歴20年。
 私が生まれてはじめて「峠で攻めてこけた」話である。



 その日は天気もよく、steveに行くルートとしてかなり遠回りになる八丁峠
 越えのルートを選択した。「選択した」と言っても珍しいルートではなくシ
 ーズン中はこのルートでsteveに行くことが7割だ。かって知ったるその峠。
 車線はセンターラインもなく狭い道で地元の人間もそうそう通らない。道の
 両脇は草ぼうぼうで七曲でRもきつく、低速、超低速コーナーの連続切り替
 えしが続くためワィンディングと呼ぶには程遠いせせっこましく快感もなく、
 気の抜けない山道。なんせ左コーナーではヘルメットが道からはみ出た草木
 にバシバシ音を立てるぐらいに狭いし・・・そんな峠で私は「攻める」と言
 うよりバイクを「寝かす」「切り返す」の感覚を忘れないためによく通って
 いた。
 いくらツーリング派と言ってもコーナーの緩やかな国道ばかり走っていては
 腕もなまる。また、歳をとり衰える体の「バイクへの適応性」を保つために
 そこに通った。簡単に言えば「バイクへの適応性の老化防止」である(笑) 

 また、Rもキツイので時速30や40ぐらいしか出せないから万が一コケで
 も致命的にはならん。そんな安心感や驕り(おごり)もあった。
 しかし「やまなみ(阿蘇のワィンディング)」をかっとばすよりは全然「安
 全」と今でも思ってる。だってスピードの出る(出せる)ワィンディングは
 「あ!」と思ったらイチコロってのが怖い。
 (いや、飛ばさなければいいんだろうけどさ)

 さて・・・・・

 二輪魂では「安全」や「死」や「事故」に関しても様々なことを書いてきた。
 そんな話の中で一貫して言えるのは「バイクで大事にならないように」と言
 うジジイの小言である。そんな俺がなぜその日その時、ガードレールに挟ま
 ってしまったのか?

 それは今でもはっきりと覚えている。

 『過信』と『経験不足』(←簡単に言えばヘタクソ)

 その2点だ。
 いや、それは起因であって、ガードレールに挟まった理由は単に「スピード
 の出しすぎ」にすぎない(^^;いわゆる「なぜ、スピードを出しすぎたのか?」
 って理由が 『過信』と『経験不足』なんだ。

 たしかその日、そう、リアフローティングキットとバックステップを組んだ
 初走りだったんだ。ポジションもリアのブレーキ感覚も違うから楽しくてしょ
 うがない。だから峠ではいつもより「気分よく」走っていた。
 そしてこの峠の下りで唯一ちょっと長めの直線(と言っても100m程度よ(^^;)
 があり、今まではその直線で90km/hまでは出したことがある。
 (※ネットにて堂々と公道を違反速度で走ってることは書かないことを推奨
  してる私ですが今回は結局それで事故ったわけだから逆にあえて時速何キ
  ロかは明言しておく)

 その90って数字。。。。。何十回も走っていて調子が悪いときは70しか
 ださなかったし気分が乗らないときはせいぜい60だった。でも自分の記憶
 に「90まで出したことがある」と残っていて「この直線で100だす奴は
 凄いよな」と、勝手に「八丁峠で100km/h伝説」を作って憧れを持っていた。

 そしてその日、私は伝説になろうとした。(笑)

 この短い直線で100だすには前のコーナーからなんぼで立ち上がるか?が
 鍵である。コーナーが迫る。いつもより速い速度で。そして抜けたところで
 全開をぶちんこんだ。。。。ギアは3速。

 左コーナー。下の図は通常のライン。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■23
==========================22:ガードレール
□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■21
□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■20
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■19
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■18
←●●●●●□□□□□□□□□□□□□□■■■■■■17
□□□□□□●●●□□□□□□□□□□□□■■■■■16
■■■■■□□□□●●□□□□□□□□□□■■■■■15
■■■■■■■□□□□●□□□□□□□□□□■■■■14
■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□□□■■■■13
■■■■■■■■□□□□□●□□□□□□□□■■■■12
■■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□□■■■■11
■■■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□■■■■10
■■■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□■■■■9
■■■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□■■■■8
■■■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□■■■■7
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■6:B
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■5
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■4
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■3
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■2
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□□□□■■■■1
■■■■■■■■■■□□□□A□□□□□□□■■■■0:A

 ◎印はブレーキング
 ●印はライン
 左右の■は草と壁。
 普通ならブレーキング終了で時速40kmぐらいに落ちてないと曲がれない。
 (俺ではね)



 アクセル全開!

 グッと!身体にGがかかる。吼えるLツイン。
 70、80、スピードメーターが昇っていく・・・
 そんな時、スピードメーターだけを見て運転なんてできやしねー。
 対向車が来るかもしれない狭い公道だ。
 なもんだから俺は一瞬「前」をみたのよ。

 「よし、前方クリア。路面問題なし」

 その1秒が命とりだった。
 再びスピードメーターを見たときに心臓がちょっと止まった。


 スピードメーターは時速 『120』km を指してした。
 ↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

 (ひゃ、ひゃくにじゅうぅ!)(んな! 0_0)

 0.3秒後にフルブレーキングに突入。

 しかし俺も長年乗ってる。
 体でわかった。
 フルブレーキングのマイナスG、そして体感速度と目測の距離感。
 このスピードでこの距離で「止まれるか」「止まれないか」ぐらいはその
 0.5秒後に判断できた。

 答えは「止まれない」である。

 峠を攻めてる人間なら「曲がれない」と判断するところかもしれないが
 俺は「止まれない」と判断するのが先だった。
 そしてその次に「曲がれるか?」の選択に入った。

 無理だろう。と思った。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■23
==========================22:ガードレール
□※★★□□□□□□□□□■■■■■■■■■■■■■21
□□□※★★□□□□□□□□□□■■■■■■■■■■20
□□□□□□★★□□□□□□□□□□□□■■■■■■19
□□□□□□□□★□□□□□□□□□□□■■■■■■18
□←●●●●□□□★□□□□□□□□□□■■■■■■17
□□□□□□●●●□★□□□□□□□□□□■■■■■16
■■■■■□□□□●●★□□□□□□□□□■■■■■15
■■■■■■■□□□□●□□□□□□□□□□■■■■14
■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□□□■■■■13
■■■■■■■■□□□□□●□□□□□□□□■■■■12
■■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□□■■■■11:C
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■10
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■9
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■8
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■7
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■6:B
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■5
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■4
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■3
■■■■■■■■■■□□□□◎□□□□□□□■■■■2
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□□□□■■■■1
■■■■■■■■■■□□□□A□□□□□□□■■■■0:A


 このままフルブレーキングを続ける。
 普段はBポイントでブレーキング終了だがこの状況下ではギリギリCポイント
 までブレーキングして減速する。
 そして曲がるとしたら・・・・・・・・・・・・・・

 脳裏に★のラインが浮かぶ。
 最悪コーナリング途中で「こける」
 一番悪い結果はこの左ブラインドコーナーでコーナリング中に「こけた」場合、
 ※のポイントで対向車と衝突。
 最悪の結果を想像する。

 「だめだ!曲がるな!」
 「もう、曲がろうと思うな!」
 「これは曲がろうと思ってはだめだ」と心が叫ぶ。

 そして・・・・・・・・

<<八丁峠100km/h伝説(中編)へ続く>>

八丁峠100km/h伝説(中編)

 そして・・・・・・・・

 あ、これから書くことはバカです。
 って言うかこの時私がとった行動が正しいかどうかなんて『わかりません』
 ですから緊急時の参考などにしないで下さい。 

 そして・・・・・・・・

 私は「とにかく対向車と衝突することだけは避けたい」その衝動からこのセンタ
 ーラインがない峠でなんと

 「思いっきり右の路肩にバイクを振った」のだ。

 理由は本能としか言い様がない。
 長年こんないろんな道を走った。その経験から峠で安全な走りと言うのは
 1)左コーナーではアウト→イン→インでとにかく車線を越えぬこと。
 2)対向車をコンマ何秒でも早く発見し、同時にコンマ何秒でも早く発見しても
   らうこと。

 1)に関して言えば「曲がろう」と思っていないから却下。
 そして2)の本能がバイクを右路肩まで持っていったんだ。

 
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■23
==========================22:ガードレール
□□□□□□□□□□◆◆□■■■■■■■■■■■■■21
□☆★★★★□□□□□□◆◆□□■■■■■■■■■■20
□□□□□□★★□□□□□□◆◆□□□□■■■■■■19
□□□□□□□□★□□□□□□□◆◆□□■■■■■■18
□←●●●●□□□★□□□□□□□□◆□■■■■■■17
□□□□□□●●●□★□□□□□□□□◆□■■■■■16
■■■■■□□□□●●★□□□□□□□◆□■■■■■15
■■■■■■■□□□□●□□□□□□□◆□□■■■■14
■■■■■■■■□□□□●□□□□□□□◆□■■■■13
■■■■■■■■□□□□□●□□□□□□◆□■■■■12
■■■■■■■■■□□□□●□□□□□□◆□■■■■11:C
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□□◆□■■■■10
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□□◆□■■■■9
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□◆□□■■■■8
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□◆□□■■■■7
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□◆□□■■■■6:B
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□◆□□■■■■5
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□□◆□□■■■■4
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□◆□□□■■■■3
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□◆□□□■■■■2
■■■■■■■■■■□□□□↑□□□◆□□□■■■■1
■■■■■■■■■■□□□□A□□◆□□□□■■■■0:A
■■■■■■■■■■□□□□□□□◆□□□□■■■■-1
■■■■■■■■■■□□□□□□□◆□□□□■■■■-2
■■■■■■■■■■□□□□□□◆□□□□□■■■■-3
■■■■■■■■■■□□□□□◆□□□□□□■■■■-4
■■■■■■■■■■□□□□◆□□□□□□□■■■■-5

  この図で説明するとAマイナス5のポイントで「もうだめだ」と思ったから
  右へ右へバイクを流す。◆のラインだ。
  (−5は5mって意味じゃないよ、図の距離感もデタラメです。実際はこん
   なに短い距離じゃないです。)

 すると対向車からはコンマ数秒は早く俺が発見できるはずだ。
 しかも車から見れば俺は「右から出て左に移動している」ことになる。
 反射的に車は「右」にハンドルを切るだろう。

 ところが俺が「まっすぐ」進んでいた場合、(↑印と★印のライン)
 車が俺を発見した時点ではもう俺は「車の真正面」にいるわけだ。車から見ても
 正面からやって来るようになる。
 そっから右に避けるか左に避けるかなんて神様にしかわからねぇ。
 って言うかどっちにころんでもぶち当たるだろう。そんな回避行動ができる余裕
 がある距離じゃねぇ。

 ところが(もう1度言うが)コーナーを曲がってきた車が左の路肩を走ってるバ
 イクを見つけたらそりゃー絶対右にハンドル切るだろ?車は。
 最悪の「衝突」は避けられる。それが俺の本能だった。人や車にぶつかるなら迷
 惑かけずに無理やりでも回避して1人でコケろ。そんな言葉も身にしみてる。
 もちろんセンターラインのあるコーナーだった場合、センターラインを超えて右
 の路肩を目指す勇気はあるだろうか?と考えるとそれも怖い。この狭い峠、セン
 ターラインがなかったからこそこんなラインを取ったんだろうと思う。

 もう1つ。
 ◆のラインは全てフルブレーキング状態のラインである。
 つまり「曲がろう」と思ってないから全力で「止まることだけ」に集中でき、こ
 の状況下では一番「ブレーキング距離が長い」ラインなんだ。

・・・・・・・

 時速120kmからのフルブレーキング。しかも下り・・・・

 (ここからはスローモーションで)

 アクセルオフ、
 FブレーキとRブレーキを最大制動、
 同時にクラッチを切り3→2へ
 シフトダウンでアクセルを煽り回転をあわせることをしない俺は即クラッチを繋ぐ、
 その瞬間、キュキュン!とリアがロック、
 すかさずクラッチをもう一度握り半クラで繋げる、
 ロックするかしないかのギリギリでエンブレをかける、
 右手、左手、右足で最大制動を制御をしながらラインを右端にコントロール・・・・

 20m、10m・・・・

 「無理だ・・・・止まれねぇ・・・」

 目が「かっ」と開く。

 ポイント14付近。
 左目の感覚が「対向車が来てない」ことにほんの少し安堵感を覚えた。

 この速度で、ここから左に曲がれるか?

 そう思うまもなくガードレールはもう目の前3m
 
 全身に力が入る。衝撃に耐えれるように。

 ガシャーン!

<<激突:後編に続く>>
八丁峠100km/h伝説(後編)

 ガシャーン!

 目の前に火花がでるとはこのことだ。

 ガードレールにナナメにぶつかった。 
 最初はFタイヤが接触、そのままハンドルが左に力任せに跳ね、同時にバイクの
 横っ腹がガードレールに接触すると同時に車体はその下にもぐり込んだ。

 1秒後に目を開けたときは「あぁ・・・やっちまった・・・・」と思った。

 エンジンオフ・・・エンジンオフ・・・キーを抜く。
 立とう・・・いや、立てるかな?
 その時はまだ右足がガードレールとバイクに挟まっていることに気づいていな
 かった。うーん・・・と力を入れるが何故か右足が動かない。
 あれれれ・・・足が・・・抜けない・・挟まってる・・・
 ま、いいや、とにかくメットを脱ごう・・・

 視界が広がり、軽くなった頭で上半身をひねって抜けない右足をよくよく見て
 詳しい状況がわかった。

 (挟まってる・・・・げげげげ・・・折れてないよな・・・)

 右足首を動かすと普通に動く・・特段激痛もない・・・・

 もう1度ゆっくりと足を抜こうとした。しかし全く抜けない。
 さらに少し落ち着いてわかったのだがガードレールは結構な力で足を押さえ込ん
 でいた。そう、例えるなら細い万力で締め付けられてるようだ。
 右足の丁度「すねの横」あたりが挟まっていた。足首のところまで抜ければすね
 より足首の方が細いから「楽」なのではないか?と思うのだがそのすねから足首
 までの移動さえできない。
 もうがっちりとフレームとガードレールの間にすねが挟まっていて1cmも前後に
 動かせやしない。

 ふぅ・・・・ため息に1つ・・・・

 (あ・・・・ガソリンだだ漏れ・・・・)

 タンクのフューエルキャップから結構な量が流れ出している・・・
 (げー・・・・ここで燃えたら俺足挟まってるから焼死するじゃん・・・・)
 と、事故ったことよりそっちの方がなんかイヤ〜な恐ろしさを感じた。

 (生きながら焼かれる・・・・い、いやだぁ・・・・・)


 それはそうとこの峠、最初に書いたように交通量は全く少ない。
 峠に入ってから抜けるまで2台ぐらい離合するかな?程度。1台も会わない時
 だってある。そんな山の中の峠でガードレールに挟まり身動き不可能。

 何度か右足を抜こうとするがだんだんすねが「痛い」ことがわかってきた。
 ブーツを脱ごうかと思うが体勢が悪くなかなかうまくいかない。

 (やっべー・・・・・早く車通らないかな?・・・・・・・)

 まぁいつか待ってれば車は絶対通るのだが、なんとこの日、車が来るまで15分
 も路上に手を付き上半身を起こしたままで待っていたんだ。結構長いよ、地べた
 で15分っちゅーのは(^^;

 最初に通りかかった車。理由はあとでわかるがこれはとても「運」がいい車だった。
 あ、もちろん俺にとってね。

 その車の横には○○工務店と書いてあるバンだった。(とうふ屋じゃないよ)

 中から3人ぐらいの作業服を来た人たちが出てきた。
 だいじょぶか?救急車呼ぼうか?などと心配してくれたあと、状況を説明し足が抜
 けないことを知るとバイクをずらしたり、ブーツを脱がしてくれた。
 しかしブーツを脱ぐと細くなるから動かせるかと思ったのは間違いでブーツが無い
 分、ガードレールが直接足に食い込み痛みが増した。
 バイクを動かそうとしてもフレームが下から圧迫してマジ痛い。

 「てててて!無理無理!」と訴える俺。この時から「痛覚」がしっかり目覚めたき
 たようだ。

 さらに10分ぐらいすると乗用車が1台来た。
 中からサラリーマン風の人が出てきて様子を見ていたが抜けない状態が続くと
 「レスキューよびましょうか?」と言う。

 (あーん・・・いやだぁ(^^;恥ずかしい(^^;) と思った。

 だって身体は全然外傷もなくピンピンしてるし・・・
 やんわりと断る俺(^^;
 なんとかならんもんなのか?と試行錯誤する人達。

 そんな心配してくれてる人たちに向かって恐縮しながらも
 「あ、タバコは吸わないでくださいね。引火したら焼け死ぬから(^^;」
 と真剣に言う俺はマジ顔である(^^;

 そして意を決したように最初の○○工務店の人達が言った。

 「よし、ガードレール外そう!レンチ持って来い!」と。

 ○○工務店の車の中にはそれはそれは多種多様な工具が山のように入っていた。
 でっかいスパナでおもむろにガードレールの「ナット」を外し始めた。
 普通の車積工具ではとても外せるしろものじゃないだろ?ガードレールのナットって。

 それを3人がかりでガードレールの片側を外して力で持ち上げ(曲げて)、やっと
 私の右足は解放されたのだ。ゆっくり立ち、折れてないことを確認。

 その後バイクを引き起こす。

 割れたヘッドライトのガラスがパリンと音を立てて路面に落ちた。
 あ、・・・ヘッドライトも割れてたのか・・・・(TT)

 エンジンはかかるだろうか?

 セル2発目で始動。静かな山の中にイベントが終わった合図かのようにLツイン
 が響き渡り観客、いや、俳優たちは車に乗り込み去っていった。

 名刺を下さいと言ってもくれず、頭を下げお礼を言うことしかできなかった。
 だからその工務店の車のナンバープレートを目に焼き付けた。あとで探してお礼
 を言うつもりだった。





 が、忘れた(核爆)   すみませんm( )m



 そこらかsteveまでの100kmをなんとか自走。
 steveにつくと社長もちょっとびっくり顔。
 (俺が「コケタ」ってこと今までなかったし)
 「夜痛くなるよ(^^;」と言われその通り結構痛かった。

 もちろんバイクはそのままドック入りしsteveの車で駅まで送ってもらった。
 車検には1ヶ月も早い時期であったけど女房には「車検にだしてきた」
 なんてうまい理由(うそ)で誤魔化すものの右足の痛みは1週間ほど続き、
 軽いビッコ(←禁止語か?)をひいいているのを隠すのは結構大変だった。

 その他の外傷は左手の親指付け根。
 ガードレールにぶつかった瞬間にハンドルがバン!と左に切れたのでその力で
 親指付け根がかなりの打撲をおったようだ。

 あんな衝撃でここまで(バイクも俺も)軽傷だったのはぶつかった角度と
 やはり「安全装備」のおけげと思う。特にクシタニのガルトブーツ+ウレタン
 ブーツカバーのおかげだと思った。

 注:ウレタンブーツカバー
   クシタニのガルトブーツは背が高くなく、その当時の革ズボンだとブーツ
   の上部と革ズボンの裾が走ってる微妙に1cmほど隙間が開いていた。
   見た目変だし冬はその隙間から風が入り込んで来て寒いので「スネ当て」
   のようなウレタンをふくらはぎ部分にぐるっと巻き付けるモノをしていた。
   これなバイク用品であり、本来はGパンの裾のバタツキを押さえるための
   商品だったと記憶する。両足分のセットで3000円ぐらいのもの。



 さてそれから4年、今ではもう二度と「八丁峠で100km伝説」なんかに挑戦
 する気は微塵もありません(笑)

 この事故の原因は100km出すつもりで120も出てた。それが敗因。
 ちょっとした下りとLツインの加速力、それを「峠を攻めたことがない」私で
 は感覚的に「100km/h丁度」なんて制御できなかったんだ。
 サーキット走っていてもスピードメータ見る余裕ないし(^^;

 もう40過ぎたし綺麗なコーナリングは目指しても速さを追求することはこの
 先ないだろう。

 速さを求める・・・確かに20年の間にそのことだけは考えてなかったなぁ。

 八丁峠100km伝説への挑戦が最初で最後だったのかも知れない。

 それでコケてりゃ世話ないや(笑)

/== F904-DesmoDue LongRangeTripper侍ver5.0(仮 2003.06.02 30,800km & LEGACY B4(BE5C)13,800km ==/

(おまけ)

タイトル : 竜胆日記(八丁峠)

今朝もバイクで家を出たものの、特段行く宛ても無かった・・・
遠くまで行く気分でもないし、東か西へのコースを取り、海沿いの
ワインディングを流すつもりでいた。

しかし、最初の交差点にさしかかると、つい、曲がりたくなった。
方角としてはやや南寄り・・・だらだらと市街地が続くあまり快適
ではないルートであるが、早朝であるせいか渋滞もしておらず無理
に抜くことも無く、車の流れにまかせることが出来た。
「こんなに走りやすかったかなぁ・・?」
あっけなく市街地を抜け、国道をさらに南へ向かった。

「これからどうする? 阿蘇までは遠い・・小石原をまわるか?」
・・40分ほど走り福岡の小京都と呼ばれる秋月にでた。このまま
江川ダムを経由して小石原に上がろうかと思ったが、ある事を思い出した・・・! 
 「八丁峠100km/h伝説!!」
ここを左折すればその舞台である。

八丁峠は数年前にとおったことがあるが、その時は大して感想もな
い狭いだけの道であった、しかしLipper氏の二輪魂を読んで以来、
かなり興味をそそられていた。
俄然、緊張が高まりこの峠を観察しつつ上って行く・・・一つひと
つのコーナーを確かめながら伝説のカーブを探していく、頂上付近
まできて折り返し、下りの感触もみる。
「かなり狭いな・・」
そして一箇所だけ加速できそうな所を見つけた!左カーブ、問題の
ガードレール・・・

早速俺はアタックを開始した! まずは80km/hまで引っ張ってブ
レーキング!確かにきつい!コーナーは急に細くなりイヤラシく廻
り込んでいる。 ・・・抜けた所でUターン。
「今の様子なら、なんとか曲がれるか??」
再度、アタック! 普段することはない2速で引っ張った!道の両
側が迫り出してるせいか、スピード感はかなり強烈!ぐっと息を飲
み込む、そして一瞬だけメーターを見た!

「110km/h(!!)」ヤバイッッ!!

体中から冷や汗とアドレナリンが噴き出すのがわかる!! フルブ
レーキでつんのめりながらも体勢をつくり、無理やり視線をインに
持っていく、今まで体験したことのないようなスピード感・・!
「突っ込むか!?」
完全にこけたと思ったが、辛くも(幸運にも)曲がることが出来た
・・・

一瞬の出来事に気合がぬけてしまい、よろよろとバイクを路肩に寄
せ、ヘルメットを脱ぎその場に座りこんでしまった。
「今のは危なかった・・・」
暫くそのまま興奮が鎮まるのを待った。
時折通り過ぎるクルマを見送りながら、その向こうに見える白いガ
ードレールを、ぼんやりと見ていた。

その場所に30分程いただろうか?さすがに小石原まで行く気にも
ならず、そのまま帰路についた。
淡々と車の後をついていった。

   果たして俺は伝説に勝てたのだろうか? ・・・否!
確かに110km/hまで出ていた!そして曲がれた! しかしLiiper
氏と俺の違いはなんだ?彼がこけて俺は曲がれたことか? 違う!
彼は対向車を避け最悪の状況を回避すべく右に寄せた、しかし俺は
無理やり曲がった・・・
結果はよかったが本当に対向車が来ていれば接触は免れなかっただ
ろう。 
”伝説”という言葉に酔っていた自分が恥ずかしく思えた。二輪魂
で伝えたかった内容を逆にいく愚かさと、その結末に苛立ちをおさ
えることは出来なかった。
峠での出来事を思い返しているうちにだんだんいつもの住宅地に近
づいてきた、朝とは違い、もうすでに渋滞が始まっている・・・
朝の景色が遠い過去のことのように思えた。
ふと、むかし読んだ本のフレーズが浮かんだ・・

 ”「イカルスが幾人もきては落っこちる・・」”

 蒸し暑さに我慢ならず、すり抜けをしてみたが、前方のバスに
阻まれ結局、排気ガスに巻かれるはめになった。

暫くはこの道を通りたくないな・・と思った。

END

(さらにおまけ)

か〜つ!(喝)by デューク

ちょっと内容がずれるかもしれませんが・・・

「事故(転倒)したから引き取りに来て・・・」

という電話は何度か受けたことがありますが、何度受けても嫌なものです。

事故や転倒したバイクを引き取りに行く事程気が重い事はありません。
現場に着いて散乱する部品や破片、原型をとどめないバイクなどを見ると
やるせないというかなんというか・・・。

フロントフォークが折れたり、ホイールが割れたりして(トランポに)載せるのが
大変だったりするとさらに気が重くなりますが、これはほんの一部。

命に別条なかったとしても後遺症は気になりますし、体は完治したとしても
これがきっかけでバイクを降りる決断をしたり、周囲からの反対が激しく
なって乗れなくなるいうケースもあるでしょう。

もちろん、バイクに乗る乗らないは個人の判断ですので私がとやかく言うこと
ではありませんが、やっぱり降りてしまうのは寂しいです。そしてそれが
事故や転倒がきっかけとなるとなおさらです。

どんなに気を付けて走っても転倒や事故を100%防ぐことは不可能です。
しかし、その確率を限り無く低くすることはできます。
(おわかりかと思いますが「ゆっくり走りましょう」ということではありません)
それは乗り手の役目であり乗り手によってしかできません。
公道上で「数値目標」に「挑戦する」ということは確率を自ら引き上げる
行為に他なりません。

仮にその「数値目標」が達成されたとしても得られるものは「自己満足」です。
達成どころか失敗してしまって怪我や命を落としたりしてしまっては迷惑を
バラまくことになります。

高校生時代、原付でツーリングに行った時、

「交通事故、あなたは天国、家族は地獄」

という標語が道ばたに掲げてありました。
その時は「すげぇ標語だなぁ(笑)」と思いましたが、だんだんボディブロー
のように効いてきました。

書いてて収集がつかなくなってしまいましたので、この辺で締めの一言。

(りんどうさん年上だけど)

危ないとわかっていて「挑戦」するとはなにごとじゃぁ〜

か〜〜〜〜〜〜つ!!!!